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香山リカの「ほどほど論」のススメ
【第15回】 2012年1月30日
著者・コラム紹介バックナンバー
香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

テレビの前で議論しても残る
橋下市政への違和感

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果たして、公開討論はどれだけ有効か

 府知事時代からの一連の言動や周囲の熱狂ぶりに対して私が批判的に論評している大阪市長・橋下氏は、ツイッターで「田原総一郎さん!! 内田氏、山口氏、浜氏、中島氏、その他、僕のことを大嫌いな大学教授と直接討論させて下さい!!」とジャーナリストの田原総一郎氏に呼びかけていました。おそらくそれは、田原氏が司会を務める番組で、ということなのでしょう。

 しかし、テレビカメラの前で限られた時間、討論をしても、多くの場合、ディベート技術や極端に言えば声の大きさだけを競い合うような形になりがちです。私は「なぜテレビで?」と違和感を覚えたことは、前回のコラムでお話した通りです。

 ちょうどそんな折に、テレビ朝日『朝まで生テレビ』から橋下市政をテーマに出演の依頼が来ました。もちろん、市長自身も出演されるとのことです。

 私は、今述べた通り、そのような議論の場を好ましいと思っていなかったので、相当ためらいました。でも、「ためらうよりも、一度、直接、話してみよう」と思い、出演することにしました。

 「朝生」は、1月27日(金)に放送されましたので、ここでは番組内で議論された内容について、詳しく書くことはありません。

 番組のなかで、私なりの意見はおおよそ発言できたのではないかと思っております。また、疑問に思っていたことも、実際に橋下市長に質問もぶつけさせていただきました。それでもまだ、わからないことが多々あります。

 そもそもの疑問は、「大阪を変える」「日本のシステムを改革する」と訴える橋下市長が、変えた後にどういう社会を創りたいのかがどうしても見えないことです。番組の中でも橋下氏は、「不連続のチャレンジ」「グレート・リセット」という言葉を再三使われていました。

 「今でなくていつやるのか」「待ったなしの改革」と、しきりに変化の緊急性を訴えられます。変化は当然リスクを伴うことです。しかし、それを質問すると、「じゃ、このままでいいのですか」とおっしゃって、変化させないことのリスクのほうが大きいことを訴えていました。

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香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

1960年北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒業。豊富な臨床経験を生かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会評論、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する。著書に『しがみつかない生き方』『親子という病』など多数。


香山リカの「ほどほど論」のススメ

好評連載「香山リカの『こころの復興』で大切なこと」が終了し、今回からテーマも一新して再開します。取り上げるのは、社会や人の考えに蔓延している「白黒」つけたがる二者択一思考です。デジタルは「0」か「1」ですが、人が営む社会の問題は、「白黒」つけにくい問題が多いはずです。しかし、いまの日本では何事も白黒つけたがる発想が散見されるのではないでしょうか。このような現象に精神科医の香山リカさんが問題提起をします。名づけて「ほどほど」論。

「香山リカの「ほどほど論」のススメ」

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