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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

仕事で成果を上げるには
中世ヨーロッパに伝わる“秘法”が参考になる

上田惇生
【第275回】 2012年2月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
2310円(税込)

 「何事かを成し遂げられるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない。もちろん、できないことによって何かを行うことなど、とうていできない」(『明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命』)

 したがって、仕事で成果を上げるには、何をおいても、“自らの強み”を知らなければならない。だが、この自らの強みを知る人が著しく少ない。そもそも、そのようなことは考えたこともないという人がほとんどである。

 ところがここに、ドラッカーが推奨する秘法がある。すなわち、“フィードバック分析”である。

 何かをすることを決めたならば、成果として何を期待するかを書き留める。9ヵ月後に、その期待と結果を照合する。こうして誰でも、自らの強みと弱みを客観的に知ることができるようになる。

 これは14世紀に、ある無名のドイツの神学者が教えたことだという。その約150年後、プロテスタントのカルヴァン派の創始者、ジュネーブのジャン・カルヴァンと、カトリックのイエズス会の創始者、イグナチウス・ロヨラがほとんど同時に採用し、それぞれの牧師や修道士に実行させた。

 たまたま1536年という同じ年に創立されたこの2つの会派が、いずれもわずか30年のあいだに、前者はヨーロッパ北部、後者は南部において、支配的な存在にまで成長したのはこの手法によるところが大きかったという。

 カルヴァン派の牧師にせよ、イエズス会の修道士にせよ、ほとんどが普通の人たちだった。その彼らが、自らの活動について目標と結果を照合することによって、自らの強みと弱みを知り、その強みを最大限に生かすことによって、成果を上げていった。

 ドラッカー自身、この手法を使って自らの強みとその変化を把握し、毎年の重点項目を決めてきた。

 「わずか数十年前までは、ほとんどの人にとって、自らの強みを知っても意味がなかった。生まれながらにして、仕事も職業も決まっていた。農民の子は農民となり、職人の子は職人になるしかなかった。ところが今日では、選択の自由がある。したがって、自らが属するところがどこであるかを知るために、自らの強みを知ることが必要になっている」(『明日を支配するもの』)

週刊ダイヤモンド

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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