文科省の前事務次官にして、“日本の貧困問題研究家”(ただし若い女子限定)でもある前川喜平氏に、名古屋の市立中学が講演依頼。その講演内容について文科省が名古屋市教育委員会に問い合せメールを送った件が、大きな話題になっている。ネットでは意見も二分しているが、マスコミはだいたい批判的だ。その批判とは、「文科省が教育現場に介入することは許されない」というものだが、ここには「安倍政権が裏で動いているはずだ」という見方が透けて見える。そのあたりのことは現時点ではよく分からない。しかし、起きたことについての論評や考察はできる。そこで今回は、文科省が教育現場に介入することの是非以前に、そもそも前川喜平氏を講演者として教育現場に招聘することの是非について考えてみる。

政治的思想を
教育現場に持ち込んではならない

 まず文科省の件だが、前述のとおり、マスコミは概ね文科省の問い合わせに対して否定的だ。文科省が授業の内容を問い質すことは教育現場への介入であり、教育の独立性を脅かすもので許されないという主旨だが、僕はむしろ文科省が教育現場に介入できないことに衝撃を受けた。当たり前だが、文科省は教育行政のトップだ。そのトップ組織が教育現場のヒアリングもできないようでは、それこそ教育現場は歪められる。実際、僕らの世代はその被害にあってきた。

 「教育の独立性」と言えば聞こえはいいが、それは教師が好き勝手をやっていいということではないはずだ。教師とは、基本的に勉強を教えるのが仕事なのだが、かつて日教組がいまよりも力を持っていた頃は、中学や高校の授業で、教師が自分の「思想教育」を好き勝手にやっていた。その大半が、太平洋戦争当時の日本批判、天皇批判だ。