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都会の一等地で田植えや養蜂ができる?
発想を変えれば見えてくる「街の屋上」の可能性

筒井健二
2012年3月27日
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ビルの屋上が金色に染まる? 場所を問わずに生育する自然の力強さを再確認する(写真画像はイメージです)。

 その昔、デパートの屋上は「ミニ遊園地」とも呼べる存在だった。コインで動く動物型の遊具をはじめ、小型のジェットコースターやメリーゴーランドなどは、子供たちにとって身近な、それでも立派な遊び場であった。

 さらには、親たちにとってもありがたい存在だった。それほど遠出をせずに、買い物がてら子供たちに遊園地気分を味わってもらえる人気スポットの1つだった。

 そんな光景も今は昔、デパート・百貨店の衰退により、家族連れが巨大デパートを訪れる機会が少なくなった。ミニ遊園地から遊具が撤去され、仕事帰りのビジネスマンを囲い込むビアガーデンやフットサルコートをはじめ、デパート・百貨店などの商業施設は、新たな屋上の活用法を模索している。

 そんな都会の屋上が、数年前から「自然」に回帰しているのをご存知だろうか。なかでも街ぐるみで屋上の活性化に取り組んでいるのが、日本を代表する繁華街・銀座だ。

 まず「屋上田植え」。銀座界隈の飲食店や企業が中心となり、地元小学生への食育活動の一環として田植えを行なっている。本格的な田植えスペースをつくって、ひざ下までを泥だらけにするところもあれば、手軽に稲づくりを体験できる取り組みも。

 JA全中(全国農業協同組合中央会)では、1989年からベランダでも簡単に稲づくりができる「バケツ稲づくりセット」の無償配布を実施している。自宅でも学校でもオフィスでも、バケツ1つ分のスペースがあれば稲を育てることができる。次回の配布は3月下旬の予定。興味のある向きは、「みんなのよい食プロジェクト」のウェブサイトで確認して欲しい。

 続いて「銀座ミツバチプロジェクト」では、2006年から銀座の雑居ビル屋上で養蜂を行っている。メンバーは地元商店会のほか、バーの支配人やパティシエ、演劇プロデューサー、弁護士、アナリストなど、多種多様な職種の人たちが集まり、多角的な視点でプロジェクトを構成している。

 採れたハチミツは、プロジェクト協力店舗で販売されているというからユニークだ。その他にも、ミツバチが自由に飛んで来られる「ビーガーデン」を増やすなど、街と自然の共生に貢献中。銀座に倣う形で、2010年5月から札幌でも同様の取り組みがされている。

 屋上緑化の取り組みを推進するNPO法人「屋上開発研究会」によれば、東京23区の建物(戸建て含む)のうち、屋上が水平な屋根の面積は品川区の面積とほぼ同じ約2300haだという。そのうち有効活用されているのはわずか14%、残りの86%は未利用のまま放置されている。港区の面積に相当するスペース(約2000ha)が“遊んでいる”と聞くと、少々もったいない気がする。

 地上に溢れた人類は、まず「上」を目指した。ビルを建て、マンションを建て、少しでも空に近いところに居場所を求めた。宇宙空間に想いを馳せる前に、空と最も近い場所、屋上の活用法がまだ残されているのではないだろうか。

(筒井健二/5時から作家塾(R)


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