ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!」 思考停止のニッポンをぶった切る

己の“グローバル化”を見せろ!

加藤嘉一
【第2回】 2012年4月9日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

入社式で引っかかったところ

 4月2日、日本では大手企業で入社式が行われたようだ。いわゆる「入社」というものを経験したことがなく、履歴書やエントリーシートも書いたことのない私には無縁な話で、入社式関連のメディア報道を興味深く見ていた。しかし、どうしても引っかかる点があった。

 社長の訓示でもっとも多かったのが、新入社員に「グローバルに通用する実力をつけてほしい。外国語を早期に習得することだ。期待している」という内容だ。

 日本経済新聞電子版ニュース(2012年4月2日『「グローバル化」「危機感」強調 入社式でトップ訓示』)によると、4月1日に就任したシャープの奥田隆司社長は「日本のエレクトロニクス業界は非常事態ともいえる厳しい状況。皆さんも自らグローバル競争に打って出て次の成長を確かなものにしよう」と新入社員に呼びかけたという。また、三菱重工業の大宮英明社長は「従来以上に海外市場で戦わねばならない」、キヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長は「すべての物事を国際的な視点から考えることができる『国際人』になってほしい」、三菱商事の小林健社長は「世界の動きを敏感に察知する感性を磨いてほしい」と訴えたそうだ。

 大手企業を中心に、グローバル化の流れを敏感に察知し、社内変革につなげるムーブメントを起こそうとすることは大いに歓迎すべきことだ。各社社長の力強い言葉を聞いて、私は感動のあまり身震いした。

社長のグローバル度は?

 しかし、ここで考えてみよう。“グローバル化”は少なくとも十数年前から各企業の経営課題として挙げられてきた。電機メーカーは、中国やインドなどの新興国でのAV製品のシェアで、韓国サムスン電子やLG電子に負けている。ここまで自社の業績や世界的なブランド価値の低下を招いたのは、自然災害や金融危機を含めた内外の情勢に左右された側面もあることは否めないが、現在、会社の中枢で意思決定に深く関わってきた経営陣が、事業のグローバル化に対応し切れなかったことが原因であることに疑いの余地はない。

 大学を卒業したばかりで、社会人経験ゼロの新入社員に“グローバル化”を求める前に、社長自らがグローバル化している姿を行動で示し、先導すべきではないのか。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR


おすすめの本
おすすめの本
われ日本海の橋とならん

人の波がぶつかりあい、時代のエネルギーが炸裂する。アジアでいちばん激しく、生命力があふれた国、中国。その中国で「もっとも有名な日本人」となった著者が、内側から見た人にしかわからないリアルタイムの中国を語ります。そこから見えてくるのは、中国、日本、世界の現在。日本は、そして日本人は、これからいったいどこへ向かえばいいのか。私たちの課題も見えてきます。

話題の記事

加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!」 思考停止のニッポンをぶった切る

 「だったら、お前がやれ!」
この言葉が意味すること、それは「対案の無い無責任な批判はするな」ということだ。もともと、この言葉は加藤嘉一氏の亡くなった父の口癖だったが、加藤氏は自らの行動規範として常に心に留めている。相手に対して意見するとき、必ず自らに問いかける。
そんな加藤氏が今、憂いているのは、日本社会にあまりにも無責任な批判、意見、論評が多いということだ。本連載では、日本社会に蔓延る無責任な論評を、加藤氏の視点で切り込み、加藤氏なりの対案や考え方を示す。

「加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!」 思考停止のニッポンをぶった切る」

⇒バックナンバー一覧