「学歴的能力」だけに頼って仕事をしていると、東大卒の人材でも失業してしまう時代は近い

拙著、『知性を磨く』(光文社新書)では、21世紀には、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という7つのレベルの知性を垂直統合した人材が、「21世紀の変革リーダー」として活躍することを述べた。この第46回の講義では、「ビジョン」に焦点を当て、新著、『東大生となった君へ─真のエリートへの道』(光文社新書)において述べたテーマを取り上げよう。

東大卒が就職で有利だった「本当の理由」

 最初に、前回の連載(「なぜ、東大卒に『活躍する人材』が少なくなったのか」)で述べたことの要点を、振り返っておこう。

 実社会での人材を論じるとき、「求められる人材」という言葉と、「活躍する人材」という言葉を、明確に区別して使わなければならない。前者は、人材市場でニーズがあり、職に就ける人材という意味であり、後者は、会社や組織、職場や仕事において、リーダーシップを発揮できる人材という意味だからである。

 そして、実社会において「活躍する人材」になるためには、次の「五つの能力」が求められる