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イノベーターのための問題解決法

プロセスをリフレームする:
人間中心イノベーションのプロセスを使う

白根英昭 [大伸社取締役]
【第2回】 2012年4月25日
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自分のデスクでコンビニ弁当を食べている3名の男性会社員を観察した9枚のデータがあります。これらのデータを分類し、3名に共通する行動パターンをひとつ抽出してください。そのうえで、何のためにそのような行動をとったのか、解釈を加えてください。

3名に共通する行動パターンを下図のようにまとめることができます。右のグループは「食べ終わったという区切りをつけたい」あるいは「ゴミを小さくしたい」、左のグループは「食べはじめるときの気分を高める」あるいは「きちんとした状況で食べたい」といった解釈が考えられます。

 抽象化のプロセスでは、データの分類・解釈を重ねる一方、「弁当容器の蓋に唐揚げがくっついてしまう」「ひと口の量が多い」といったテーマとの関連性の低い個別のデータや、「かたく縛る」「空気を抜いてしぼませる」といった個別の事象を分析対象から落としていきます。抽象化のプロセスのポイントは、起こっている現象を抽象化することで、個別の事象からより大きなテーマに問題の次元を引き上げていくところにあります。飛躍的なイノベーションでは、抽象化のプロセスが使われます。

 対照的に、改善や改良では、起こっている現象を要素に分解し、問題の原因を特定します。例えば「弁当容器の蓋に唐揚げがくっついてしまう」という現象に対して、その要因を、蓋の問題、容器の問題、唐揚げの問題、輸送の問題、陳列の問題、と分解して考えます。このように、同じように観察し、データを収集しても、飛躍的なイノベーションと漸進的なイノベーションでは問題の扱い方が逆になります。

次のページ>> 改善や改良のプロセス
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白根英昭 [大伸社取締役]

1963年大阪生まれ。1988年大伸社に入社。2002年にペルソナやエスノグラフィー等のデザインリサーチに基づくイノベーションサービスを開始。2004年より同社m.c.t.事業部取締役。一橋ビジネスレビュー(2007年) 、 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2010年) などに寄稿。2008年から 関西の産官学共同によるソフト技術者の養成塾で講師を担当。ペルソナ&カスタマエクスペリエンス学会理事。

 


イノベーターのための問題解決法

イノベーションを意図的に生み出すのは簡単なことではない。どのようにすれば組織的に、繰り返しイノベーションを生み出すことができるのか。エスノグラフィーの活用による人間中心イノベーションに、ひとつのヒントがある。この連載では、エスノグラフィーを使って問題をリフレームし、飛躍的なイノベーションへと結びつけていく方法を紹介する。

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