西松屋Photo:PIXTA

子ども服などの販売を手掛ける西松屋チェーン。少子化が進む昨今ですが、業績好調で25年2月期(単体)は、売上高は前期比増収、営業利益も増益となりました。売上高はなんと30期連続で過去最高を更新。営業利益率も競合他社を圧倒する高さです。西松屋の高収益の秘密は何か、考えてみましょう。(グロービスAI経営教育研究所所長/グロービス経営大学院教員 鈴木健一)

ガラガラなのに高収益!
西松屋はなぜ儲かっているのか?

「西松屋?ああ、あの子ども服の安いお店ね。いつ行っても空いてて、店員さんも少ないから、子連れでも気兼ねなく見られるのよ」――。

 子育て世代なら、こんな会話に覚えがあるかもしれません。

 しかし、この一見「のんびり」とした店舗の姿とは裏腹に、西松屋チェーンがベビー・子ども用品業界で圧倒的な売上高を誇り、かつ高い営業利益率を叩き出していることをご存じでしょうか。

 この「閑散として見える店舗で高収益」の背景にある西松屋のビジネスモデルの謎を解き明かしていきます。

 まず、西松屋がベビー・子ども用品市場でどれほどのポジションを築いているか、具体的な数字で見てみましょう。

 主要競合として「アカチャンホンポ(赤ちゃん本舗)」や「バースデイ(しまむらグループ)」が挙げられますが、西松屋の強さは圧倒的です。

図1:西松屋と赤ちゃん本舗、バースデイの売り上げと営業利益率の比較各社直近の有価証券報告書(西松屋)、決算公告(赤ちゃん本舗)、SPEEDA等を基に著者作成。赤ちゃん本舗はアカチャンホンポという店名で事業展開している。バースデイはしまむらグループの一事業であり、バースデイ単独での営業利益が不明なため営業利益率のデータはない 拡大画像表示

 西松屋は売上高で他社を大きく引き離し、さらに本業の儲けを示す営業利益率においても高い水準を維持しています。「いつ行ってもガラガラ」というユーザーの印象の裏で、なぜこれほどの高収益を上げ続けることができるのでしょうか。