ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!」 思考停止のニッポンをぶった切る

世界で勝負する、猫ひろし氏の「個の力」を見よ

加藤嘉一
【第6回】 2012年5月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage
台湾の記者会見にて。デンバー滞在前に、取材で訪れていた。

 現在、私は米国コロラド州デンバーに滞在している。デンバー大学で開催された「Beyond History: Reconciliation and Sources of Conflict between China and Its neighbors」(歴史を乗り越えて:中国と近隣諸国との間における和解と衝突の原因)という国際会議に出席するためだ。

 私も国交正常化40周年を迎える日中関係に関する基調報告をした。国境や利害関係、政治システムや価値観を越えて、歴史が遺した幾つもの壁を打ち破るべく、各国の精鋭たちとガチンコで議論することは、「世界の中の日本」を再考させてくれる。

 デンバーは標高1500メートル以上の高地にある。気合で日課としている毎朝のランニングをしてみると、心臓に適度な負荷がかかって心地良い。

 高橋尚子さんら五輪メダリストたちがマラソントレーニングの拠点としていたボルダーからも、車でわずか30分くらいということで、現地の人たちは「多くのプロアスリートがデンバーを拠点にしているよ」と教えてくれた。私も将来的にデンバーとボルダーを拠点に数か月滞在し、心技体を鍛え直したいと強く意識した次第である。

だったら、お前が走れ!

 先ほど、60分間のランニングを終えて、ふと思い出した。

 お笑い芸人の猫ひろし氏が、今年夏にロンドンで開催される五輪に、男子マラソンのカンボジア代表として出場することに関して、日本で議論が起こっている。

 完全に個人的な感想であるが、私は心から猫さんのことをうらやましく思っている。陸上競技に勤しんでいた中高時代、私も本気で五輪を目指していた。同じランナーとして、ぜひ頑張ってほしいと思っている。

 そもそも、アスリートとして五輪出場を実現できなかった私のような負け犬に、猫さんの行動を批評する資格などないと思っている。もし私の父親が生きていたら、いつものようなパンチが飛んできたことだろう。

 「だったら、お前が走れ!!」

 まったく、その通りだ。五輪にも出ない、出たことがない、ましてや真剣に走ったり、一つの壮大な目標を実現するために、犠牲を払ってでも汗を流したことのないような人間に、猫さんについてとやかく言う資格は限りなくゼロに近い、というのが私の根本的なスタンスだ。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR


おすすめの本
おすすめの本
われ日本海の橋とならん

人の波がぶつかりあい、時代のエネルギーが炸裂する。アジアでいちばん激しく、生命力があふれた国、中国。その中国で「もっとも有名な日本人」となった著者が、内側から見た人にしかわからないリアルタイムの中国を語ります。そこから見えてくるのは、中国、日本、世界の現在。日本は、そして日本人は、これからいったいどこへ向かえばいいのか。私たちの課題も見えてきます。

話題の記事

加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!」 思考停止のニッポンをぶった切る

 「だったら、お前がやれ!」
この言葉が意味すること、それは「対案の無い無責任な批判はするな」ということだ。もともと、この言葉は加藤嘉一氏の亡くなった父の口癖だったが、加藤氏は自らの行動規範として常に心に留めている。相手に対して意見するとき、必ず自らに問いかける。
そんな加藤氏が今、憂いているのは、日本社会にあまりにも無責任な批判、意見、論評が多いということだ。本連載では、日本社会に蔓延る無責任な論評を、加藤氏の視点で切り込み、加藤氏なりの対案や考え方を示す。

「加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!」 思考停止のニッポンをぶった切る」

⇒バックナンバー一覧