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「引きこもり」するオトナたち

引きこもりが“町おこし”を担う!?
高齢過疎の町が実践する先進的取り組み

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第109回】

 調査のための調査で終わらせない。その調査結果は、目に見える形で事業に生かす努力をする。

 世界遺産の認定も受けた「白神山地」のふもとにある、人口約3900人の秋田県藤里町。そんな山あいにある小さな町の社会福祉協議会が「引きこもり者のパワーを引き出すことで、町はまだまだ変わる」として、町おこしに生かすために行ってきた「引きこもり」実態調査と福祉拠点での取り組みが今、話題になっている。

 何しろ、18歳から55歳までの町民1293人の8.74%にあたる113人が、長年、仕事に就けない状態で引きこもっているという数字は衝撃的であり、他の地域でも同じような人たちの存在が埋もれているだろうと推測させるものとなった。

 また、こうした引きこもり者の支援のため、同町社協は2010年4月、地域との交流の場で福祉の拠点となる「こみっと」を開設。翌年4月には、宿泊施設「くまげら館」を併設し、引きこもり支援を本格化させた。

 こうした「藤里方式」(藤里町社協方式)の経過報告を1冊にまとめた『ひきこもり 町おこしに発つ』(秋田魁新報社)が、このほど出版された。すでに同社には、問い合わせが数多く寄せられているという。

高齢化する過疎の町に埋もれ、
そのまま亡くなった当事者と家族

 同書のプロローグには、こんな象徴的なエピソードが紹介されている。

 同社協の新入相談員として働き始めた20年前、町の名士であるHさん宅を訪ねた。

 高齢のHさんは、息子のNさんと2人暮らしだが、ここ10年ほどはNの姿を見かけたことはなかった。

 都会で暮らしていたNさんは、交通事故を起こし、Hさんが家に連れ帰り、人目に悪いからと外出も禁じられていたらしい。

 突然、部屋に通された訪問者に、Nさんはおびえて震え、身を縮めた。

 「私を覚えている?」

 中学時代のNさんを知っていた相談員が、おびえないように話かけたつもりだった。しかし、Nさんは

 「ごめんなさい。ぼくはわからないんです。ごめんなさい」

 と、頭を畳に打ち付けるように謝り続けた。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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