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河尻亨一のデジタル・クリエイティブReview
【第3回】 2012年6月14日
著者・コラム紹介
河尻亨一 [元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]

「今すぐ嫌なことを全部やめて
旅に出たくなってしまうCM」で何が売れたか

カンヌ目前、トレンドはまさに“怒濤のデジタル化”

今回は「広告」に焦点を合わせます。第1回第2回の中でも企業のコミュニケーション施策をご紹介してきましたが、今回は広告に特化しつつ、デジタルクリエイティブとの関わりから掘り下げてみましょう。

「カンヌ国際広告祭」から
「広告」の文字が消えたわけ

クリエイティブ(広告)よ静かに眠れ(SEO Japan)

 のっけからお騒がせなタイトルで恐縮です。これは「Traditional Advertising is Truly Dead(CopyBlogger)」という英文ブログの翻訳記事です。

 米ケーブルテレビ局の「aMC」では今、「The Pitch」というドキュメンタリードラマが放送されているそうです。クライアントから発注を受けた2つの広告会社が、毎回アイデアと企画で勝負する様を描くシリーズ。いうなれば、「通常目にすることができない“競合”の舞台裏に迫る!」といった趣旨の番組でしょうか。

 しかし、アメリカの広告業関係者と思しきこのブログの著者は、このドラマの内容に憤りを隠せない様子です。番組に登場する広告会社が打ち出す旧態依然とした“クリエイティブ”な施策は、今や顧客にとってなんらメリットのない自己満足に過ぎないのでは? と厳しく批判しています。

 テレビ番組であるからにはショー的な要素も盛り込んでいるでしょうから、「なにもそこまで言わなくても……」といった感もないわけではありませんが、著者のオピニオンにはうなづける部分もあります。

 私は2007年から毎年、カンヌ国際広告祭(現在は『カンヌ国際クリエイティブ祭』を取材していますが(ウオッチ歴自体は12年)、この5年で生じた世界の広告の変化にはすさまじいものがありました。

 その変化をあえてひと言で言い表すなら、「怒濤のデジタル化(インタラクティブ&ソーシャル化)」に尽きるでしょう。昨年からフェスティバルの名称自体から「広告」という文字が消えてしまったことからもご推察いただけるように、“マス媒体のみで展開される広告”が急速に、世界規模でその存在意義を問われ始めているようです。

 しかし、かといって企業のコミュニケーション活動がなくなるわけではないですし、私はそこでの「クリエイティブが死んだ」とはまったく思いません。

 よく読むと、このブログの著者はそのあたりも匂わせています。私は、今は「クリエイティブ」の役割や次元が変わりつつあり、この記事の邦題「~静かに眠れ」とは逆に、「クリエイティブ」の重要性は増していくと考えています。

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河尻亨一 [元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]

1974年、大阪市生まれ。99年、早稲田大学政治経済学部卒業。お茶の水美術学院講師を経て、2000年より雑誌「広告批評」(マドラ出版)に在籍。08年、編集長就任。10年、同社退職後、雑誌・書籍・ウェブサイトの編集、企業の戦略立案およびPRコンテンツやイベントの企画・制作を手掛けるほか、講演活動なども行っている。


河尻亨一のデジタル・クリエイティブReview

ITツールの進化によって、デジタル・クリエイティブはより精緻に、よりリアルにとその表現力を上げています。これまで体験したことのない感動をデジタルで実感できる時代には、どんなコミュニケーションが可能になるのでしょうか。元「広告時評」編集長の河尻亨一氏がナビゲートします。

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