仕入の締日と支払日、在庫の意識を常に持っておく

 仕入や在庫に関する支払いについて、管理ポイントは大きく3つあります。

 第1に、締日を意識して仕入をコントロールすることです。

 売上代金の回収とは逆で、締日直前には極力仕入をせず、在庫量を絞ることが重要になります。

 例えば、月末〆の翌月25日払いの条件の場合、当月末に仕入れたものは翌月25日に支払わないといけません。

 しかし、翌月1日に仕入日を1日ずらすだけで、支払日は翌々月25日となり、結果的に約1ヵ月の支払日が延びることになります。

 締日の翌日から締日までの必要分の仕入を行い、締日が近づくにつれて、手元在庫で乗り切るというスタイルがとられているのは、この締日が大きな理由となっています。

 第2に、売上代金の回収サイトとのバランスを考慮することです。

 これは、売上代金が回収されるサイト(入金日)と、仕入代金が支払われるサイト(支払日)を考慮することで、キャッシュフローが改善されるという意味です。

 例えば、売上も仕入も末日締で、仕入代金の支払いサイトが25日の場合、売上代金の回収サイトをそれ以前(例えば20日)に持ってくることで、入金してから支払うという構図が成立します。

 しかし、これを無視してしまい、売上代金の入金が30日となってしまうような場合は、仕入代金を支払う資金が別途必要になり、場合によっては借入金を調達しなければならなくなってしまいます。

 また、メーカーなどの場合は、材料を仕入れて加工し、製品として完成したものを販売しますので、実際に売上代金として入金されるまでは時間がかかります。

 このため、製造工程を効率化して製品化する時間を短くする一方で、売上代金と仕入代金のサイトバランスを考慮して、「入金してから支払う」ビジネスモデルを構築する必要があります。

 第3に、基準となる必要在庫を決めて、過剰な在庫を持たないことです。

 キャッシュフローを悪くさせてしまう要因の一つに在庫があります。

 在庫というのは、最低限ないと売上が成立しない、製造活動に支障をきたしてしまうというのは理解できます。

 しかし、一方で在庫が長期間残ったままになってしまうと、在庫の保管費用も掛かりますし、場合によってはデッドストック(不良在庫)となってしまう恐れもあります。この場合、在庫がお金に変えられないため、キャッシュフローに影響を与えてしまいます。

 このため、締日直前はもちろんのこと、必要以上の在庫を持たないよう、常日頃から在庫を絞る努力が必要です。