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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

何に対して貢献するか
どのような貢献ができるのか
仕事ができる者は自分で考える

上田惇生
【第293回】 2012年6月25日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
1890円(税込)

 「成果をあげる人とあげない人の差は、才能ではない。成果をあげるかどうかは、いくつかの習慣的な姿勢と、いくつかの基礎的な方法を身につけているかの問題である。しかし、そもそも組織というものが最近の発明であるために、人はまだ、それらのことに優れるにいたっていない」(『プロフェッショナルの条件』)

 一流の仕事ができるようになるには、生まれつきの才能などいらないというのだから、うれしくなる。しかも必要なのは、習慣的な姿勢と基礎的な方法だけだという。

 習慣的な姿勢と基礎的な方法で十分というのならば、誰でも身につけられる。しかし、ここで大きな「しかし」がつく。組織というものが、最近の発明であるために、われわれはまだ、組織で働くことに慣れていないという。

 18世紀の産業革命の後、大勢の人間が一緒に働くようになった。ジェームズ・ワットが実用蒸気機関を発明したのが1776年、それからわずか230年である。いかに習慣的な姿勢といっても、230年では身につかない。いかに基礎的な方法といっても、誰も教えてはくれない。そもそも学校の先生には、組織で働いた経験がないからである。

 ドラッカーは、たとえば、身につけるべき習慣的な姿勢とは、こういうものだという。ペーパーワークと医師のさまざまな要求に追われている病棟の看護師は、大勢の外科の患者を見ながら、こう考える。

 「彼らが私の仕事だ。ほかのことは邪魔でしかない。この本来の仕事に集中するにはどうしたらよいか。仕事の仕方に問題があるかもしれない。もっとよい看護ができるよう、皆で仕事の仕方を変えられないだろうか」

 成果を上げるには、何に貢献するかを考えなければならない。すなわち、この看護師のように考える。次に、自分は何を最も貢献できるかを考えなければならない。すなわち、自らの強みを知る。

 まことに、簡単なことである。その簡単なことを、ドラッカーは教えてくれる。

 「成長のための偉大な能力をもつ者はすべて、自分自身に焦点を合わせている。ある意味では自己中心的であって、世の中のことすべてを成長の糧にしている」(『プロフェッショナルの条件』)

週刊ダイヤモンド

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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