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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

人口構造の変化が社会だけでなく
経済と政治を変える

上田惇生
【第294回】 2012年7月2日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
2100円(税込)

 「人口の重心の移動に伴い、時代の空気が変化する」(ドラッカー名著集(5)『イノベーションと企業家精神』)

 急速な社会の高齢化は、何をもたらすのか。高齢化社会の到来を、「見えざる革命」と名づけたドラッカーは、三つの変化を教える。

 第一が、空気の変化である。ドラッカーは、時代の空気を規定するものは、すでに最大であり、かつ現に最も急速に増大しつつある人口層だという。

 かつて、そのような人口層は、若年層だった。そのため、単なる若年層一般の特徴にすぎないものが、時代の特徴とされ、時代の空気とされた。ひいては、それが社会の空気とされ、永続すべき空気とされた。著しきは、文明そのものの空気とされた。

 だが今日、そのような人口層は高年層である。いまや、時代の空気、社会の空気、永続すべき空気となるものは、高年者のそれである。その空気によって最も動かされるのが政治である。

 第二が、労働力の変化である。すでに、社会の多様性を追求するダイバーシティなる耳なれないカタカナが登場し、高年者と女性の就労促進が正面から論じられるようになった。

 加えて、外国人労働者の受け入れが問題となった。SARS騒ぎのときは、中小企業が外国人労働者の払底に音を上げた。今日では、看護と介護の世界で労働力不足が切迫している。さらには、ライフラインの維持のための労働力確保までが怪しくなっている。

 日本社会へ外国人を入れることは、もはや好き嫌いを言っていられる段階を過ぎた。こうして労働力の不足が社会を変える。しかし、すでに外国人労働者を抱えている企業、産業、地域がある。われわれは、大至急、それらの経験から学ばなければならない。

 そして第三が、もちろん市場の変化である。人口構造の変化は、イノベーションの機会をもたらす。

 人口構造が変わるということは、すなわち市場が変わるということである。その市場の変化が、経済を変える。そもそも企業の目的は、顧客の創造である。

 「現場に行き、見て、聞く者にとって、人口構造の変化は信頼性と生産性の高いイノベーションの機会となる」(『イノベーションと企業家精神』)

週刊ダイヤモンド

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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