世に半分半分のものといえば、まず思い浮かぶのは男と女の数だろう。でも、本当にそうなのだろうか。
女性100人に対する男性の割合を「人口性比」という。世界人口の性比(2010年の国連推計値)は102でほぼ半々に近いが、先進国は女性が多く、途上国は男性が多くなる傾向がある。G8のメンバーである日本の人口性比は94.8。女性の方が5%ほど多い。
“男の街”vs.“女の街”
突然で恐縮だが、サウジアラビアの人口性比は124。30代~50代の働き盛り世代では、何と163にものぼる(2006年の推計値)。オイルマネーを目指して、外国から出稼ぎ労働者が流入してくるからだ。
またまた話は飛んで、江戸の街。一口に人口100万人、うち半分が町人といわれるが、町人の人口構成は男約30万人対女約20万人と、圧倒的に男社会だった。理由はサウジアラビアと同じ。江戸に行けば、何とか仕事にありつけた。この伝統は、近代になっても受け継がれる。第1回の国勢調査が行われた1920(大正9)年の東京都(当時は東京府)の人口性比は112。その後も長く男性超過が続いたが、2000年に逆転し、現在の性比は98.0。東京23区は、これより若干女性が多い97.3である。
サウジアラビアも、江戸も、かつての東京も、男と女のバランスは社会要因によって左右されることを示している。東京23区を区別に見ると、江戸時代以来の傾向が残る男が多い街もあれば、日本全体のトレンドを先取りするかのように女性化の進んだ街もある。これもまた、社会要因のなせる業である。
東京一の“男の街”は、性比が110を超える台東区。2位の江戸川区が102.5だから、群を抜いて男性が多い。豊島、足立、大田、葛飾の各区も性比が100を上回る。
逆に、女性が一番多いのは目黒区。ほぼ同率で港区が続く。以下、渋谷、文京、世田谷、杉並、中央の順(次ページのグラフ参照)。男の街と女の街が、何となく彷彿としてくる。