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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

アメリカの信条は社会を理想実現の手段と見る

上田惇生
【第94回】 2008年10月9日
著者・コラム紹介バックナンバー
企業とは何か
ダイヤモンド社刊
2400円(税別)

 「アメリカの伝統では、社会的機関は社会を越えた目的のための手段である」(『企業とは何か』)

 アメリカは、国、国家、人種に絶対的価値を付与する社会至上主義と、法を倫理的な価値とは関係のない交通法規扱いする功利主義のいずれも拒否してきた。

 アメリカは、社会とはそれ自体が目的ではなく、理想のための手段であるとする点において、信じられないほどに、時には幼稚というほどに、理想主義的である。かくしてこの国は、あるときはドル信仰に取りつかれた我利我利亡者とされ、あるときは理想を求めて世界改造に取り組むドン・キホーテとされる。

 ドラッカーは、アメリカが本性的なものとしての帰属意識を理解できないのも、このアメリカ特有の社会観のゆえだと言う。

 アメリカは、ナチズムを嫌悪するドイツ軍兵士がなにゆえによく戦いうるかを理解できなかった。愛国心は人間本性のものとして、その時々の信条によるものではないという他の国にとっての常識が理解できない。

 もちろん、国は重要である。しかしそれは、国が存在するからではない。それが自分たちの信条、すなわち自由と平等を体現する存在になっているからである。

 「アメリカでは、社会そのものを目的としたことは一度もない。逆に、社会そのものを、個としての人間の倫理的な価値と無関係の功利的な手段としたことも一度もない」(『企業とは何か』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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