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森信茂樹の目覚めよ!納税者

新たな2大政党に向けた萌芽を育てよ
カギ握る社会保障国民会議の活用

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第31回】 2012年7月11日
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 今回の消費税増税法案の3党協議の結果、社会保障の改革部分は基本的に先送りにされた。その一方で、有識者や国会議員をメンバーとして、1年かけて年金・医療・介護・少子化対策などを総合的・集中的に検討する場である、社会保障制度改革国民会議(以下、社会保障国民会議)の設置が決まった。

「社会保障制度改革
国民会議」の意味合い

 一見、先送りのための検討の場を作っただけ、という受け止め方が多いが、この会議の設置には、少なからずメリットがある。それどころか、うまく活用していけば、将来の政界再編につながる重要な場ともなりうる。以下、その理由を書いてみたい。

 第1に、3党で社会保障の将来像を議論する場が設置されれば、次の選挙の争点から年金等の社会保障の問題は外すことができる。これまで民主党が政権を取る過程では、公的年金制度が明日にも崩壊するかのごとき宣伝が行われ、それが国民に誤ったメッセージを伝えてきた。

 しかし今回は、年金など社会保障を選挙の争点に取り上げ、政争の具にするということが(全く行われないとは思えないが)少なくなるだろう。

 第2に、自助努力を思想の柱とする自民党が会議に参加するということは、この場での議論で、民主党のばらまき的な社会保障政策を、もう一度見直すことになると期待される。

 長寿化社会の下での年金支給開始年齢の引き上げや、デフレ下での年金増加額を抑制するマクロスライド発動、芸能人の実例から問題となった生活保護制度の見直しなど、国民にとって厳しい議論も行われるのではないか。

 民主党政権下ではなしえない、社会保障の効率化にメスを入れることになれば、会議は成功だ。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

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