日銀12月決定会合、利上げは見送り
インフレ懸念で2025年、金利正常化続く
日本銀行は12月18、19日に開いた今年最後の金融政策決定会合で利上げを見送った。
だが、春闘などの高い賃上げや人手不足、資源・エネルギー価格上昇などを背景に、政策運営が「デフレ脱却」から「インフレ懸念」に重点が変わり始めているなかで、2025年も金融の正常化の流れに変化はない。
「金利のある世界」への本格回帰で、日本経済はどうなるか。
利上げは今後も緩やかなペースで進められると予想されるうえ、債務を抱える企業や政府と貯蓄超過の家計とでは金利上昇のマイナスとプラス効果がある程度、相殺されるため、全体では景気への影響はそう大きくないと考えられる。
だが、競争力がなくなっていたにもかかわらず超低金利時代のぬるま湯に浸ってきた中小企業や債務を膨らませた財政は、利払いコスト増などで厳しい環境に置かれる。
金融政策の正常化が順調に進めば、今後、政策金利である無担保コール(オーバーナイト物)の目標水準は、25年末にかけて1%程度まで引き上げられるとの見方が大勢だが、そうなれば長期金利も、政府の中長期試算の楽観的な見通しでとどまるとは考えられない。