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かつての日本は、強いカリスマがチームを引っ張ることで回っていた。だが今、若手はそんなリーダーを求めていない。上司像が変われば、職場の空気も変わる。では、いま部下たちが「ついていきたい」と思うのは、どんなリーダーなのか?※本稿は、高橋克徳『静かに分断する職場 なぜ、社員の心が離れていくのか』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

「手招きしつつ転んでしまう」が
今若手が求めているリーダー像

 経営者は、方向を示して、決断をして、先頭を走り、みんなを引っ張ることがリーダーシップだと言います。

 その前提には、より高い意識と能力を持った人間がみんなを引っ張らないと組織を正しい方向に導いてはいけない。だから、多少強引であっても、自分が切り拓いていく、自分が先頭に立つという覚悟と行動が必要なのだという考えがあるからです。確かに変革期には強いリーダーは必要です。でもそんな人でないとリーダーシップは発揮できないのでしょうか。

 20代、30代の研修で「リーダーシップを短い演劇(ショートスキット)にしてください」というワークをすると、経営層とは異なるリーダーシップ像を演じてくれます。

 最初はメンバーがみんなバラバラな方向を向いて、パソコンに向かって仕事をしている。リーダーはそこで、一人ひとりに声をかけ始める。全員と話し終わったら、みんなに声をかけて輪になって集まっている。そこでみんなと一緒に話し合っている。決めたことがでてきたら、こっちに行こうと方向を指さして、リーダーから動き始める。