スタートアップ企業が一同に介し、投資家に向けて自社の製品のデモを行うイベントが米国で活況を呈している。なかでも米国のスーパーエンジェル「500 Startups」が主催する「Demo Day」は、有望なベンチャーが集まることで注目度が高い。どんなビジネスモデルのベンチャーがこのDemo Dayに参加しているのか? また、現在、米国スタートアップが生み出しつつある新しいビジネスの潮流はどういうものなのか? 株式会社リクルートにて、海外投資事業を担当する筆者がレポートする。

 ここ数年、スタートアップ企業による新しいネットサービスの種(シード)をビジネスとして成長させるうえで、アクセラレーターの役割が注目されるようになってきた。

 アクセラレーターとは、スタートアップに対する投資のみならず、起業家らのメンターとなり助言、手助けなどを積極的に行って、事業を次のステージへと展開するのを支援する組織や個人を指す。アクセラレーターには、元起業家、現役起業家、投資家、Googleなどネット企業での事業経験者といったメンバーが多い。2010年に活動を始めた500 Startupsは、米フォーブズ誌が主要インキュベータ・アクセラレータとしてトップ10にも挙げる代表格の一つだ。

 500 Startupsについては、「米国スーパーエンジェル500 Startupsが世界から注目される理由」の記事が詳しいので、詳細はそちらに譲るとして、今回は彼らが主催するDemo Dayに筆者が参加してきたので、そこで目を引いたスタートアップや、今盛り上がっているビジネスモデルのパターンについてレポートする。

 さらに、本稿後半には500 Startupsの代表デイブ・マクルーア(Dave McClure)氏と、Recruit Strategic Partnersの代表取締役、岡本彰彦による対談を掲載する(対談ページはこちら)。Demo Dayを通じて感じた、現在のスタートアップが目指しているビジネスの「潮流」、さらには日本のスタートアップの可能性について意見を交わした。
※ Recruit Strategic Partners(RSP)は、株式会社リクルートの海外戦略投資VC(ベンチャーキャピタル)として、2008年から米シリコンバレーで活動を行っている。シリコンバレーで生まれたサービスが、将来のリクルートの主要サービスの一つとして日本市場でも展開される可能性もあると見込んでおり、スタートアップ企業への投資・事業連携も実際に進んでいる。例えば500 Startupを卒業した、ビデオ採用面接プラットフォームを提供するスタートアップ「WOWZER」にはRSPも出資をしている。

4ヵ月にわたる事業サポートプログラムを
受けた28のスタートアップが参加

500 Startups Demo Day(@マウンテンビュー)の模様

 500 Startupsの主催するDemo Dayは、7月17日(火)にカリフォルニア州マウンテンビュー(Google本社があり、現在のシリコンバレーの中心地の一つ)で開催された。これを皮切りに、サンフランシスコ、そして翌週にはニューヨークと、3都市の会場で展開されるイベントだ。マウンテンビューではマイクロソフトのキャンパスを会場にして開催され、200人以上の参加者が集まった。