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元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

JAL問題は、「お金」と「時間」に縛られた20世紀の落とし物? 環境問題と同じく、「対処療法」では解決しない。

見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]
【第5回】 2009年11月17日
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 日本航空(JAL)が、企業再生支援機構に再生支援を要請しました。公的資金での支援が前提となりますが、その公的資金が企業年金の支払いに充当されないよう、企業年金を大幅に削減する必要があるようです。

 企業年金を引き下げるためには、受給者の3分の2以上の同意が必要ですが、「老後の生活に支障をきたす」として同意が得られるのは難しい状況となっています。マスコミの報道では、連日この企業年金の問題が大きく取り上げられていますが、「未来のために我慢を」という論法は、大義名分で語られがちな環境問題にも相通ずるところがあるかも知れません。

 もちろん、この企業年金の問題は、公的支援を受けるためには外せないポイントですが、それはあくまでも公的資金を受けるまでの話です。むしろ大切なのは、JAL再生のためのグランドデザインをどう描くか、ということではないでしょうか。

いま、飛行船が
再評価されているワケ

現在、日本で唯一、有人飛行をしている飛行船「ツェッペリンNT」。全長75.1mあり、世界最大。通常時速は65~80キロ、高度約300~600mを飛行。全世界で3隻しかない貴重なもの。【写真提供:(株)日本飛行船】

 先日、飛行機ならぬ「飛行船」に乗る機会に恵まれました。最近、都内上空を優雅に漂う飛行船を、見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。

 有人飛行船の歴史は古く、フランスのピエール・ド・ロジェが、モンゴルフィエ兄弟の製作したバルーンで飛行に成功したのは、いまから226年も前の1783年のことでした。その後、1852年にフランスのアンリ・ジファールが、操縦航行可能な飛行船による人類初の飛行に成功しています。ちなみに、アメリカのライト兄弟が、世界初の有人動力飛行に成功したのが1903年のことですから、飛行船の開発がいかに早かったかが、理解できると思います。

 しかし、飛行機がその後大きく発展していくのに対し、飛行船は衰退の歴史を辿ります。そこには、さまざまな時代背景があったことが推察されますが、「20世紀には、浮力によって優雅にゆっくり飛ぶ飛行船よりも、飛行機の時間的効率性がより求められた」ということも一因であったと思います。実は、そんな飛行船が21世紀に入ったいま、再評価されているのです。

 飛行船ツェッペリンNTは、浮力の大半を都度消費しないヘリウムガスでまかなうため、化石燃料は200馬力エンジン3基に使うのみ。そのため、CO2は大型ジェット機の210分の1しか排出しないそうです。しかし、このように書いても、飛行船がいま注目されている理由をきちんと理解できないと思います。それは、飛行船の本質的価値は、「物や人を運ぶ」ということにあるため、環境の話を真っ先にされてもピンとこないからでしょう。

 飛行船が、注目されている本当の理由は、「ゆっくりと時間をかけて、静かに低空(通常300m、海上では150m)を飛ぶことができる」という飛行船本来の特徴です。まず、企業にとっては、空に浮かぶ「広告媒体」としての利用価値があげられます。また、私が乗ったツェッペリンNTは、有人の飛行船であることから、昼夜都内の名所を上空から一望できる「飛行船遊覧クルージング」が人気を博しています。

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見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]

1967年生まれ、埼玉県出身。90年立教大学法学部を卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。05年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA)。同年10月に三井住友銀行を退職し、Mr.Childrenの桜井和寿等が設立したNPOバンク(ap bank)に理事として参画。09年2月に株式会社フィールド・デザイン・ネットワークスを設立し、代表取締役に就任。企業や金融機関に対する戦略・企画コンサルティングを行う。専門は、循環型(環境)ビジネス、ソーシャルビジネス、BOPビジネス及びファイナンス。立教大学AIIC「立教グラミン・クリエイティブラボ」副所長。多摩大学経営情報学部非常勤講師。
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元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

ちまたにあふれる環境ニュースやキーワードの数々。近年のエコブームで「地球にやさしい」というところで思考停止してしまい、その本質を理解できていない人は意外と多い。当連載では、国やメディアに先導されたままの環境キーワードを取り上げ、「論理」と「感性」の両方を満たす、真の環境リテラシーについて考える。

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