竹島の領有権問題を巡り、日韓関係が急速に冷え込んでいる。李明博大統領の竹島訪問をはじめ、韓国の一連の挑発行為は暴挙に近い。ここに来て日本国内では、韓国に対して経済制裁を行なうべきだという強硬な論調が目立ち始めた。政府も日韓通貨スワップの延長見直しや国債購入の凍結などを、議論の俎上に載せている。しかし、日本にとって韓国は重要な経済パートナーである。政治問題が経済に飛び火することによって日本が被るデメリットは、小さいものだろうか。盛り上がる「韓国制裁論」の是非を、冷静に考えたい。(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)

韓国は何を考えているのか?
竹島問題で燃え上がる日韓関係

「韓国はいったい何を考えているのか」「こんな国とこれまで通り付き合っていけるかどうか疑問だ」

 街中に溢れる声、声、声――。日韓に暗い影を落とし続けてきた竹島領有権問題に、今新たな“燃料”が投下され、燃え広がっている。

去る8月10日、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が、同国の国家元首として初めて竹島(韓国名:独島)に上陸したことは、日本国民に衝撃を持って受け止められた。

 これを受け、ロンドン五輪の会場では、サッカー男子3位決定戦(日韓戦)の終了後に、韓国選手が竹島の領有権を訴えるメッセージを掲げる一幕があった。神聖な場であるはずの五輪で行なわれたこの暴挙が国際的な問題となったことも、記憶に新しい。

 これらの事件をきっかけに、足もとで日韓の対立は泥沼の様相を呈している。日本の批判を受けた韓国の言動は、天皇陛下の訪韓を巡って謝罪を要求する事態にまでエスカレート。抗議を含めた野田首相の親書が無下に返送され、竹島問題の解決を目指す国際司法裁判所への共同付託提案も、足蹴にされた。

「『グローバル・コリア』を標榜してきている韓国政府であれば、我が国政府の提案を受け入れ、堂々と国際司法裁判所で自国の主張を述べるものと期待していた。しかるに、竹島問題を解決するための具体的な対案も示していない今回の韓国側の回答には極めて失望している」

 玄葉外務大臣のこの談話が、日本人の気持ちを代弁していると言えよう。