「誰でも、自らの強みについてはよくわかっていると思う。だが、たいていは間違っている。わかっているのは、せいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。しかし、何ごとかをなし遂げるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない」(『プロフェッショナルの条件』)
ドラッカーは、この強みを知る方法を教える。“フィードバック分析”である。なにかまとまったことを手がけるときは、必ず9ヵ月後の目標を定め、メモしておく。9ヵ月後に、その目標とそれまでの成果を比較する。目標以上であれば得意なことであるし、目標以下であれば不得意なことである。
ドラッカーは、こうして2~3年のうちに、自らの強みを知ることができるという。自らについて知りうることのうちで、この強みこそが最も重要である。
このフィードバック分析から、いくつかの行なうべきことが明らかになる。行なうべきではないことも明らかになる。
もちろん第1は、その明らかになった強みに集中することである。強みがもたらす成果の大きさには、誰もが驚かされるはずである。
第2は、その強みをさらに伸ばすことである。強みを伸ばすことは、至ってやさしい。ところが誰もが、弱みを並の水準にするために四苦八苦している。
第3は、その強みならざる分野に敬意を払うことである。不得意なことを負け惜しみで馬鹿にしてはならない。自らにとって弱みとなるものに対してこそ、敬意を払わなければならない。
第4は、強みの発揮に邪魔になることはすべてやめることである。強みを発揮できないほどもったいないことはない。
第5は、人との関係を大事にすることである。そうして初めて強みも発揮できる。
第6は、強みでないことは引き受けないことである。正直に私は得意ではありませんと言う。
第7は、強みでないことに時間を使わないことである。いまさら直そうとしても無理である。時間は、強みを発揮することに使う。
「これからは、誰もが自らをマネジメントしなければならない。自らが最も貢献できる場所に自らを置き、成長していかなければならない」(『プロフェッショナルの条件』)