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ミャンマー その投資ブームは本物か

残り3年で証券取引法とシステム構築はできるか
大和に課せられた最後の苦労と重責(下)

杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]
【第6回】 2012年9月13日
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ミャンマー証券取引センターのオフィス。
Photo by 大和証券グループ本社

 「ミャンマーにおいて、急いで改革を行っても決してうまくいかない。外から見ると、もっと早く改革してくれと思うかもしれないが、時間をかけないとできる改革もできなくなってしまう」

 ミャンマーの酸いも甘いも知り尽くしたような表情を浮かべながら、ミャンマー証券取引センターのソウ・テイン・エグゼクティブディレクターはつぶやいた。前回も紹介した同センターで、今年初めに話を聞いた時の反応だ。

 そこだけ時間が止まったようなセピア色の空間、世間の喧騒から切り離された静寂――。まばゆく点滅する証券ボードもなく、数人の事務員たちがいつもの仕事を粛々とこなしている。ここが、世界の投資家から熱い視線を注がれるミャンマーの証券投資改革の中心地なのか。

 前回は、20年以上前にミャンマーに進出した大和総研の、現地で証券取引所開設準備に携わった今までの取り組みをご紹介した。今回は、2015年に迫った証券取引所開設に向けての彼らの挑戦についてお伝えしたい。まずは前回に引き続き、現状の証券取引法の準備における現状と今後について整理しておこう。杉下亮太・大和総研アジア事業開発部副部長シニアコンサルタントに話を聞いた。

「すぐの変化を期待しすぎない方が
良いと思っています」

――証券取引法の準備状況は。

 当初は2011年末にはできると聞いていました。それが3月末までに法案が通りそうという話になったが、実際は通らなくて、7月から再開された議会で話し合われるということになっています。積み残しの法案も他にあるので、どこまで順調にいくかは不明です。

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杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]

すぎた こういち/カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線』を連載。


ミャンマー その投資ブームは本物か

民主化へ一気に動き出したミャンマー。政治体制の不安定さや民族間の紛争など、ミャンマー特有のリスクは依然として残るものの、欧米による経済制裁が解除されつつあり、世界中の企業が東南アジアの「ラスト・フロンティア」として注目している。現地では電力をはじめとした社会インフラに関する大型投資案件、工業団地の造成が急ピッチで進められている。日本企業も、成長の糧をミャンマーに見出そうと、熱い視線を注いでいる。しかし、ブームとなっているミャンマー投資は、果たして本物なのだろうか。ブームに踊り、現実を軽視した、拙速な投資へと急いでいないだろうか。現地取材を敢行し、冷静な目でミャンマーの現実をレポートする。

「ミャンマー その投資ブームは本物か」

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