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ミャンマー その投資ブームは本物か

「株とは何だね?」の質問から苦節20年!
証券取引不毛地帯でついに報われる大和の苦労(上)

杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]
【第5回】 2012年9月6日
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外国人投資家が羨む
ミャンマーの日系企業

 「なぜこの会社が、これほどまでにミャンマーに食い込んでいるのか」

 今年の初め、日系以外の海外投資家とヤンゴンで現地企業訪問をした際に、同行した外国人投資家たちから何度も聞かれた質問だ。ミャンマーにおいて、収益機会を探ろうと血道を上げる外国人投資家から羨望のまなざしで見られる日系企業。それが、ミャンマー証券取引所の50%株主であり、今後のミャンマーの資本市場育成において中心的な役割を担っていく大和総研だ。

 外国人投資家から見ると、「今まで未知の国に大きな投資機会が訪れ、勢い込んで乗り入れてみると、そこに現地に長い期間かけて足場を築いていた日系企業を発見した」と、そんなところだろうか。外国人投資家でなくとも、なぜ彼らが資本市場と最も縁遠かった国で、ここまで根付いているのか疑問に思う。

 そのきっかけは? また今までいたからこそ分かる困難は? また今後のチャレンジは? 前回の丸紅にひき続き、冬の時代を潜り抜けてミャンマーでビジネスを展開している日系企業紹介シリーズ第2弾。今回は大和総研のアジア事業開発部副部長でシニアコンサルタントの杉下亮太氏に、疑問を直接投げかけてみた。

 インタビューに入る前に、ミャンマーの資本市場の整備状況についての現状をおさらいしよう。

 ミャンマーでは、2015年に証券取引所の開設を目標に準備を進めている。今年の5月29日にミャンマー中央銀行、大和総研、東京証券取引所は、ミャンマーにおける証券取引所設立及び資本市場育成支援への協力に関する覚書を締結しており、証券取引所制度の設計や証券取引所のITシステム、証券市場人材の育成等に関する支援について合意している。

 日本以外にも、隣の韓国を始め各国が証券取引所支援に名乗りを上げていた中、日本が優先的な地位を確保できたのはなぜか。それは、この合意から20年以上前から、大和総研をはじめとする大和グループが、人々がミャンマーに目を向けない中で地道に証券取引準備作業に携わってきたからに他ならない。

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杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]

すぎた こういち/カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線』を連載。


ミャンマー その投資ブームは本物か

民主化へ一気に動き出したミャンマー。政治体制の不安定さや民族間の紛争など、ミャンマー特有のリスクは依然として残るものの、欧米による経済制裁が解除されつつあり、世界中の企業が東南アジアの「ラスト・フロンティア」として注目している。現地では電力をはじめとした社会インフラに関する大型投資案件、工業団地の造成が急ピッチで進められている。日本企業も、成長の糧をミャンマーに見出そうと、熱い視線を注いでいる。しかし、ブームとなっているミャンマー投資は、果たして本物なのだろうか。ブームに踊り、現実を軽視した、拙速な投資へと急いでいないだろうか。現地取材を敢行し、冷静な目でミャンマーの現実をレポートする。

「ミャンマー その投資ブームは本物か」

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