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悪魔の対話術 ~ビジネスで「したたか」に成功する~
【第12回】 2008年8月8日
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内藤誼人  [心理学者]

いっそのこと、「泣いて」みる

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 選挙も最終日直前になると、ウグイス嬢や候補者は、「泣き落とし」という戦術を使う。声をからして、今にも泣きそうになりがならの訴えをするのだ。「私を、男にしてください!」とか、「最後の、最後の、最後のお願いに参りました!」という泣き落としの常套句は、みなさんにもお馴染みであろう。

 政治というのは、政策を実行する場所なのであるから、本来の意味からすれば、理知的に、自分がやりたい政策を演説しなければならないはずだ。それを有権者に判断してもらうことが選挙なのだから。

 選挙戦の前半では、たしかにそういう理知的な方法をとる人もいる。しかし、次第に終盤戦にさしかかると、必ずといっていいほど、候補者たちは、「泣き落とし」の戦術を使う。自分がやりたい政策をアピールするより、泣いていたほうが票を獲得できるという見込みがあるからである。

泣いて、相手の
「同情」を引いてみる

 こういう情感に訴える方法は、決して悪くはない。私たちは、泣いている人を見ると、単純に同情してしまい、心が揺さぶられるからである。

 泣いてみるのは、最後の奥の手ではあるが、きわめて強烈なインパクトを持っているのだ。

 私たちは、小さな頃から、「だれかが泣いていたら、助けてあげなさい」という道徳を教え込まれるので、泣いている人を放っておくわけにはいかなくなる。泣いているのに、見てみぬフリをすると、ひどい罪悪感に襲われるからだ。

 こういう泣き落としテクニックは、選挙戦だけでなく、ビジネスでも有効だ。泣いて、泣いて、とにかく相手の同情を引くのである。ひたすら、泣いて、頼む。すると、相手も自分がいじめているような気分になって罪悪感を感じ、その罪悪感を打ち消すために、あなたの要求に応じてくれるかもしれない。

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内藤誼人 [心理学者]

慶応義塾大学社会学研究科博士課程修了。(有)アンギルド代表取締役。現在は、企業研修や講演等で、心理学の法則をもとにした人材育成や販売促進、企画力促進などに力を注いでいる。著書に『「人たらし」のブラック心理術』(大和書房)、『人は「暗示」で9割動く!』(すばる舎)、『パワーセルフ』(ダイヤモンド社)ほか多数。


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