依存しているかな?と思ったときの対処法

 エクササイズは、買いものやギャンブルと違って、健康的なイメージが強いので、なおさら依存が気づかれずに進行する危険性を持っています。

 今まで依存してきた行動が急にできなくなる、不可能になると人間は感情的な変化が生じます。いちばんよくみられる心理反応は、怒りです。
  自分の思い通りにできないエネルギーが怒りとなって表われます。怒りばかりではなく、無気力や落ち込み、不安などもありえます。また、依存できる行動手段を奪われると、説明のつかない感情の変動に襲われます。

  この場合、どういう対処法が現実的なのでしょうか。先ほどのJ君は、奥さんと険悪な状態のときも、エクササイズを再開して気を紛らわせていました。
  エクササイズ以外のものにのめり込むという手段もあったはずです。

  しかし彼は考えました。このままでは、家庭や仕事を含めても長期的な解決にはならないと。エクササイズの時間を制限することは、最初は苦痛でしたが、不安をありのままに感じることにし、奥さんに「実は運動していないとイライラして落ち着かない」と、正直な気持ちを伝えることにしました。時間はかかりましたが、J君のフィットネス依存は落ち着きを見せています。

 基本は、「自分の意志に反している、習慣的な行動」があれば、それに対する不愉快な気持ちは「おかしいな?」という感触をありのままに感じることです。そして、少しずつ制限していく中で、主に家族や友人にもその不愉快な気持ちを話すことが、依存から脱却する近道なのです。

(本稿は『今の働き方が「しんどい」と思ったときの がんばらない技術』西多昌規著からの抜粋です)
 


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