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ミャンマー その投資ブームは本物か

混沌とした国だからこそ正確な情報が明暗を分ける
世界各国政府から信頼される市場調査会社MMRD

杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]
【第15回】 2012年11月15日
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海外においてビジネスを行う際に、より正確な現地情報を取得することが成功への第一歩であることに、疑問の余地はないだろう。ただ一方で、発展途上国においては日本と同じレベルでの情報の取得が難しい場合が多く、海外進出戦略立案の際に、まず真っ先にハードルとして立ちはだかる。特にミャンマーのように、今まで軍事政権下においては自由に情報の発信がままならず、また信頼できる情報発信機関の数も限られている場合はなおさらだ。

今回は、ミャンマーにおける市場調査会社の草分け的存在で、軍政時代の1992年に設立され、現在その分野でのトップ企業であるMyanmar Marketing Research & Development Company (MMRD社)をご紹介したい。その創業者でマネージングディレクター(MD)を務めるU Moe Kyaw氏に、彼が事業を開始して現在まで拡大してきた経緯から、現地における情報取得の難しさと現在の市場調査に対する考え方の変化について話を聞いた。

ミャンマー初のイエローページを創刊

ミャンマーにある調査会社のなかでは老舗で、パイオニア的存在のMMRD
Photo:Japan Asia Strategic Advisory

 MMRD社は、現在ミャンマーにおいて200余名の従業員を抱え、そのうち100名以上のインタビュー要員が、ミャンマー全土の13カ所のオフィスで、業界調査、フィージビリティースタディー、マーケティング調査、消費者動向調査、各種の市場調査を行っている。今でこそここまで規模を拡大したが、20年前に創業したころは、まだミャンマーでは軍政の最中であり、自由に情報を発信することは困難な時代だった。そんな時代に、そもそもなぜ情報調査会社を設立したのであろうか。

*  *

――英国育ちで、大学も英国で出られたと伺っています。

MD そうです。ロンドンにあるWestminster Universityで、機械工学を専攻しました。卒業後はコンピュータシステム関連の仕事につきました。

――なぜミャンマーに戻られたのですか。

MD 私がミャンマーに戻って来たのは1990年で、私がまだ24才の頃です。1988年にそれまでの社会主義の政権が崩壊したことを受けて、ビジネスの機会が広がるだろうとの思いで帰ってきました。その当時は、英国でも行っていたコンピューター関連の仕事を立ち上げようと思ったのです。

――その事業はうまくいきましたか。

MD いえ、非常に苦労しました。まず、その当時は今以上に電力事業が悪く、安定して電気が来ませんでした。電気が来なければコンピューターは使えません。また、当時はまだミャンマーの人々にとって、コンピューター自体がまだ馴染みがなく、当時のシステムや機器は、彼らが必要とし理解できるレベルを大きく上回っていました。

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杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]

すぎた こういち/カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線』を連載。


ミャンマー その投資ブームは本物か

民主化へ一気に動き出したミャンマー。政治体制の不安定さや民族間の紛争など、ミャンマー特有のリスクは依然として残るものの、欧米による経済制裁が解除されつつあり、世界中の企業が東南アジアの「ラスト・フロンティア」として注目している。現地では電力をはじめとした社会インフラに関する大型投資案件、工業団地の造成が急ピッチで進められている。日本企業も、成長の糧をミャンマーに見出そうと、熱い視線を注いでいる。しかし、ブームとなっているミャンマー投資は、果たして本物なのだろうか。ブームに踊り、現実を軽視した、拙速な投資へと急いでいないだろうか。現地取材を敢行し、冷静な目でミャンマーの現実をレポートする。

「ミャンマー その投資ブームは本物か」

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