持続化給付金詐欺の摘発者数
今年は昨年の3倍超か

 とはいえ「どうせ、ばれっこない」と高を括(くく)っている不正受給者もいると思うが、実は前述の通り、公金詐欺は知人同士で「言った、言わない」「貸した、借りてない」によるトラブルの延長みたいなものと違い、公的申請書という決定的な証拠が残る。

 捜査権や強制調査権がなくても、主に事件を中心に担当してきた社会部記者のように法人登記や信用調査情報などに日常的に触れていれば、事業実態があるかどうか何となく分かる。中小企業庁に勤務するその道のプロなら、怪しい案件はまず見逃すまい。そして、実地調査で「クロ」と踏んだら確定申告書の写しや法人口座の提出を要請し、拒否するようだとそのまま警察に相談して捜査権を駆使してもらえばいいだけのことだ。

 警察庁によると、昨年12月までに持続化給付金詐欺での摘発は逮捕が203人、書類送検が76人で、立件総額は約2億1200万円。経産省や警察庁の統計から推測すると、今年の摘発者は優に昨年の3倍を超えるのではなかろうか。

 経産省はお咎(とが)めなしとするのか、悪質と判断し刑事告発するのかの基準は明らかにしていないが、過去のケースを見ると、単純に自分が経営する会社の確定申告の数字を虚偽申告し100万~200万円を詐取して返還ならセーフ、事業実態や確定申告そのものをでっちあげて詐取したケースは金額次第という気がする。

 詐欺罪の時効は7年。経産省と警察は本気で調べている。手口や金額によっては罪に問われない可能性はあるものの、いずれ、逃げ切ることは難しいだろう。身に覚えのある方には「ごめんなさい」と自主的に申告することをお勧めしたい。