大阪環状線改造プロジェクトで
イメージが刷新

 しかし、ここ数年で大阪環状線のイメージが大きく変わったと思っている読者は少なくないのではないか。JR西日本は2013年から「大阪環状線改造プロジェクト」と銘打って、同線のイメージを刷新すべく「安全快適な駅づくり(駅美装・改良)」「駅構内及び高架下の開発・リニューアル」「車両新製」「地域や他交通事業者との連携」などの取組みを進めてきた。

 路線の顔となる車両は、国鉄時代から運行されてきた「103系」と「201系」に代わり、2016年から2019年にかけて新型車両「323系」22編成計176両が投入された(ちなみに山手線で運行されていた103系は1988年に引退している)。

 また設備の老朽化、陳腐化が目立っていた駅についても、森ノ宮、玉造、桃谷、天王寺(東口)、京橋(今年度中に完成予定)でリニューアル工事を実施した他、全ての駅でサインシステムの刷新、LED照明の導入、トイレ改装など、これまでの汚い臭い暗いイメージを払拭している。

 遊び心としては2014年から2015年にかけて、全19駅に導入された発車メロディが印象的だ。

 大阪駅にやしきたかじんの「やっぱ好きやねん」、桃谷駅に河島英五の「酒と泪と男と女」というド直球を放り込んだかと思えば、新今宮駅は駅近くの繁華街「新世界」にちなんでドボルザークの交響曲第9番「新世界より」、鶴橋駅は焼き肉のイメージで「ヨーデル食べ放題」という変化球も織り交ぜ、森ノ宮駅は童謡「森のくまさん」、桜ノ宮駅は大塚愛の「さくらんぼ」などのダジャレもある。

 関東でも発車メロディは多く導入されているが、お上品にまとまりすぎていて面白みに欠けるきらいがある。その点、ユーモアを忘れない関西のセンスは一味違う。

 この他、大阪メトロ乗換駅にはJR改札内に地下鉄の運行状況を表示する案内ディスプレーを設置。またエリアごとの特性・ニーズに対応した高架下店舗開発、大阪芸術大学とコラボした野田~福島間の高架下アートなど、地域や他交通事業者と一体となって利便性向上、イメージアップを進めたのも特徴だ。