今回は企業ビジョンについてお話したいと思います。

 通常、ビジョンとは将来の構想や展望を意味しますが、企業ビジョンには、なぜそれを目指さなければならないのかを示す【Ⅰ.企業の目的(企業の存在意義)】と具現化するために必要となる判断基準としての【Ⅱ.価値観】があり、それらを通じて実現したい【Ⅲ.将来の展望】の3つの条件を満たしているものが望ましいとされています。

 上記3つの条件を満たした企業ビジョンを掲げることにより、なぜその企業が存在しているのか、どのようなアプローチでその目的や存在を達成すべきなのか、そして、到達したい将来はどのような状態なのか、を明確に提示することができます。そのことで、従業員やその他ステークホルダーとそれを共有することができ、企業が目指すべき将来像や本来の姿に対する理解が促進されます。これにより、企業の目標に対して、全社員が一丸となって同じ方向を向き、同じ判断基準で物事を捉えて、企業活動を推進できるのです。

 企業活動の一環である会議を例にした場合、目指すべき企業像とそれに実現するための判断基準が明確であれば、無駄な議論や混乱が生じることは少なくなるでしょう。正しい企業ビジョンが提示され、それを全社員が共有していれば、先ほどの例のような時間の消費や労働力の低下を避けることにつながります。

 また、目指すべき企業の将来像の実現に向けた行動や活動の判断基準が明確であれば、迅速かつ効率的に従業員の行動を統率することを可能とします。

 以上のような効果を生む企業ビジョンのあり方について、最初に提示した3つの条件とそれぞれの条件に含まれる要件について解説します。

【企業ビジョン】を支える3つの条件

Ⅰ.有意義な企業の目的(存在意義)の提示

1. 企業の存在意義を示すもの
1)組織の存在意義を示すもの
2)単に事業内容を述べたものではなく、なぜその事業であるのかの根拠、理由が述べられているもの