評価の段階数(S~Dなど)や、各評価における得点範囲(100点~90点など)、評価に応じて与えられるGPの大きさは、大学によってそれぞれ異なります。なお、得点がD(60点未満)だった場合以外にも、期末テストなどの試験を欠席した場合や、そもそも授業を2/3以上欠席するなど出席回数不足のため試験の受験資格が失われた場合は、GPは0になるのが一般的です。ちなみに、一度不合格となった科目を再履修した場合は、最終的なGPは再履修後の成績が反映されることが多いです。つまり一定の取り返しはつくようになっています。

なぜGPA制度が普及したのか

 なぜこのようなGPA制度が普及したかというと、日本において高校まではすべての学生が同じ教科・科目を履修するため、単純に成績を比較することができました。一方、大学においては、学科の教養科目や専門科目、自由選択科目など、個々の学生の所属する学部学科や目標に応じて、履修する科目を選択する自由度が非常に高いため、異なる科目を履修したそれぞれの学生を単純比較することができません。

 それを解決するのが、個々の学生の単位当たりの加重平均を算出するGPAというわけです。またGPAは、以前より日本の大学で問題視されていた大学生の学力低下に歯止めをかける重要なファクターであるともいえます。

 というのも、今後求められる大学教育においては従来の「学びの量(取得単位数の多さ)」だけでなく、「学びの質(成績の高さ)」を高めていく必要がある中で、GPAがこの「学びの質」を端的に測る指標となるためです。

 実際にGPAが進級条件、卒業条件として使用される場合があります。たとえば卒業までに124単位以上取得しなければならないなどの卒業要件単位数に加えて、成績がGPA2.0以上でないといけない、などが挙げられます。また進級条件として、たとえばGPA1.5以下である場合は留年となったり、休学扱い、最悪の場合は退学勧告となったりする場合もあります。

 その他、GPAは、留学時の認定基準、奨学金の給付基準、ゼミや演習科目への選考基準としても使用されています。
 
 ちなみに、大学によっては1学期に履修登録できる単位数に上限を設けている場合がありますが(履修単位のキャップ制)、GPAが一定以上の高さ(3.0以上など)の場合は、そのキャップが外れて上限以上の単位を履修し、より多くの科目を学ぶことができるケースもあります。GPA制度はこういった大学におけるさまざまな学びの機会に活用されているのです。