「決断ブートキャンプ」で
嫌でも鍛え上げられる

為末 この「自分で決める」というのは、リーダーシップにも繋がってくると思うんですけど、伊賀さんご自身、リーダーシップに目覚めていく局面というか、ハッとされた局面というのはあったんですか。

伊賀 昔からリーダーシップや決断力があったかというと、それほどとは思いません。20代半ばからビジネススクールとマッキンゼーでリーダーシップ教育を集中的に受けて、鍛えられたと思います。
そこでは、「資料はコレです、グラフはこうなりました」みたいに報告すると、すぐに「で、あなたはどう思うの」って、聞かれるんです。要は「自分で決めろ」ということ。

リーダーの仕事とは、まさに決めることだと思うんですけど、自分の人生について自分で決められなかったらお話にならないんですよね。そこを徹底的に鍛えられた気がします。

為末 「自分で決めない」っていう結果を、他でもない自分自身が決めているってことにも、気づいてなかったりしますね。

伊賀 たしかに。

為末 決断すること、決断を多く意識的に自発的に重ねることと、成長の見込みがあるかないかはリンクすると思います。
僕も、もともとこんなに人に自分の考えを言うタイプじゃなかったんですけど、上の人と話しながら、正しいかどうかってことよりも、いろんなものが仮の状態なんだけども、その状態でしゃべっても良いのかなって思えるようになっていったんです。そこから変化が出てきました。

例えば三段跳びが、400メートルハードルに関係してるんじゃないかっていう仮定が出てきたときに、それを検証しながら探っていくようなことが、自分自身の練習でもできるようになってきたんです。それが体験としては凄く大きかったですね。