Rさんの金融資産は
何歳まで持ちこたえられる?

 Rさんが65歳で退職した場合、収入はご夫婦の公的年金(月60万円)のみとなります。ですが、税金・健康保険などの負担があるので、試算における手取額は48万円、年間576万円に下がります。

 その一方で、支出額も現役時代より減るでしょう。住宅ローンを完済したので支出は月8万円減、食費も娘さんの一人暮らしによって5万円減とします。また、仕事柄、今は自宅で施術を行っていると考えると、仕事を引退すれば電気・ガス代も2万円ほど減ると予測します。

 これらを合計すると月間15万円(年間180万円)の減額になるので、支出額は月間75万円(年間900万円)から60万円(年間720万円)に抑えられます。ただし、これは娘さんへの月15万円の支援を除いた試算です。

 退職後も支援を継続する場合、月の支出額は75万円のままです。年間収支では収入が576万円、支出が900万円ですから、年間の赤字額は324万円になります。

 仕事を引退後に、この規模の赤字を出し続けた場合、Rさんの金融資産はいつまで持つのでしょうか。

 65歳時点の金融資産を前述の1億646万円とすると、赤字額を資産から補填できる年数は1億646万円÷324万円=32.85年。Rさんが97~98歳ごろまで金融資産は持つことになります。

 ただし、Rさんが車を保有しており、まだ59歳と若いことを考えれば、あと1~2回は車の買い替えを行うのではないでしょうか。買い替え費用を1回当たり250万円とすれば、追加で最大500万円が金融資産から取り崩されることになります。

 車を買うことを前提に、あらかじめ資産から500万円を引いたうえで試算すると、1億146万円÷324万円=31.31年。金融資産は96歳ごろまで持つことになります。

 人生100年時代といわれるご時世で、Rさんが100歳まで長生きするならば、保有する金融資産額では4年ほど足りません。

 とはいえ、これは厳しく見積もったシナリオです。これから述べるポイントを考慮すれば、100歳まで持ちこたえられる可能性はあります。