支出減と娘の独立を考慮すれば
過度に心配する必要なし

 考慮すべき点の一つ目は支出額です。今回は、娘さんへの支援を除いた支出額を月間60万円と高額なままで試算しました。ですが、総務省の家計調査報告によると、2人以上の高齢無職世帯(世帯主65歳以上)の月間支出額の平均は約25万5500円(税金・健康保険含む、2020年)です。

 筆者のこれまでの家計相談の経験を踏まえても、平均の2.3倍強の支出を90歳代まで続けるというのは非現実的といえます。年を重ねるにつれて生活スタイルが変化し、毎月の支出が減っていくことも十分に考えられます。

 二つ目は、娘さんへの支援です。今回は、月15万円の仕送りが生涯続くものとして試算しています。これについても、娘さんが就労支援の学校に通っているということで、仕送りが将来的に減額、またはゼロになる可能性もあるでしょう。その場合は、金融資産が底を突くのも遅くなります。

 厳しめの試算では、100歳まで耐えられないという結果になりましたが、今後の支出減や娘さんの就職を考えると、ご夫婦ともに保有する金融資産で100歳まで生活できると思われます。

 将来に向けた備えとして、このシナリオを知っておくことは重要ですが、老後の金銭面について過度に心配する必要はありません。

 金融資産を使い切れない可能性もありそうですが、その場合は、残った分を娘さんへの相続財産とすればよいでしょう。