リーダー論に正解はありません。時代や年齢、率いる組織の業績、規模によっても求められる能力は異なります。ここでは、リーダー経験がほとんどゼロでダイヤモンド編集部の編集長になってしまった私が、わらにもすがる思いで手にしたリーダー本を紹介していきます。

『結果を出すリーダーはみな非情である』『優れたリーダーはみな小心者である。』、はたまた『最高のリーダーは何もしない』など、一見すると矛盾していそうな5冊を選定しましたが、読んでみるとストンと腹落ちするものばかりです。

特集『編集長厳選!無敵のリーダーになるための5冊』で、これまでにない不思議な読書体験をお届けします。#2は『1万人のリーダーが悩んでいること』を紹介。部下から「仕事を押しつけられた」と思われないために、上司が絶対知っておくべき3つの注意点とは?(ダイヤモンド編集部編集長 山口圭介)

「仕事を押しつけられた!」と部下に思われないよう、上司が絶対知るべき3つの注意点

仕事を押し付けて部下が
やる気を失っても後の祭り

 2008年に私が新聞社からダイヤモンド社に転職してきた当時、週刊ダイヤモンド編集部では激烈に働く先輩や上司たちが誌面を奪い合い、販売部数が好調だった特集の担当者へのご褒美は次の特集企画に対するゴーサイン。つまり仕事の“ご褒美”はボーナスや休暇ではなく、さらなる仕事でした(もちろん希望する部員に対してだけなので誤解なきよう)。

 時代はガラリと変わりました。働き方改革が進んだ今、そんなことをすれば「仕事を押し付けられた」と問題化するのは必至でしょう。

 今回お届けする書籍『1万人のリーダーが悩んでいること』では、「部下に対し、『この仕事を手伝ってくれないか』と伝えるとき、『仕事を押し付けてきた!』と思われていないか不安です。うまく頼む方法を教えてください」との相談が紹介されています。

 編集部のマネジメントにおいても、以前のように仕事をやりたい人にどんどん振るというわけにもいかず、私自身、部員への仕事の振り方は悩みの一つです。

 これまでに1万人を超えるリーダーを指導してきたという著者の浅野浩一氏は、仕事を頼める部下は会社やチームにとって財産であり、大量の仕事を押し付けられてやる気を失ったり、メンタルを病んで退職したりという段階になって後悔しても後の祭りと指摘しています。

 では、どんなときに部下は「仕事を押し付けられた」と感じるのでしょうか。

 同書の本文では、部下から「仕事を押しつけられた」と思われないために絶対知っておくべき3つの注意点を詳しく解説します。いずれも超納得の指摘でした。加えて、以下のような悩みにも丁寧に回答しています。ぜひ、ご一読を。

・新米リーダーになりました。でも専門知識がないためにバカにされたり、無視されたりしています。
・浅野さんの話をお聞きし、「部下に頼り、甘える」ことも大切だと気付きましたが、一歩間違えると「頼りない上司」ととらえられるのではと思いました。
・職場の若手社員の減少により、「若手社員同士を競わせる」ことができません。
・誰もやりたくない仕事はどう割り振ればいいのでしょうか?
・組織がぐちゃぐちゃの状態で引き渡されたのに「成果を出せ」と言われることに納得できません。

 『1万人のリーダーが悩んでいること』の第4章はこちら

「仕事を押しつけられた!」と部下に思われないよう、上司が絶対知るべき3つの注意点

はじめに/目次 P.1~P.22

「部下を守る」とはどういうことですか? 私は「守られた」経験がないので、イメージできません。 P.23~P.71

部下のマイナス部分ばかりが目に入り、つい指摘してしまいます。ほめる部分の見つけ方、さりげない伝え方についてご指導ください。 P.72~P.83

説教するのが苦手です。私自身、説教されるのが嫌なので「こんなことを言われたくないだろうな」という意識が働きます。どうすればいいのでしょうか? P.84~P.133

正直にSOSをあげてくるメンバーはなかなかいません。「調子はどう?」と聞いても、みな「ぼちぼちです」と答えます。どうすればいいのでしょうか? P.134~P.153

シニア社員にプラスαの仕事を振ると、「私には無理だ」と泣き言ばかり。どうすればいいのでしょうか? P.154~P.187

部下に対し、「この仕事を手伝ってくれないか」と伝えるとき、『仕事を押しつけてきた!』と思われていないか不安です。うまく頼む方法を教えてください。 P.188~P.239

失敗が許されない風潮の中、いかに失敗を許容すればいいのでしょうか? P.240~