今年3月、JASSOは2020年の調査結果を発表したが、留学目的地の上位10位の中から中国は姿を消していた。

 対中進出企業は減少に転じ、日本の対中ODA(政府開発援助)も今年3月末で終了。近年は覇権主義による戦狼外交も取り沙汰され、米中新冷戦が先鋭化する中、武漢で新型コロナウイルスが発生した。ゼロコロナ政策が続く中国では、今なおビザ審査は非常に厳しく、日本人を含む外国人を寄せ付けない状況も災いしている。中国のイメージは落ち、多くの日本人が魅力を感じなくなっている可能性もある。

中国からは続々とZ世代が来日

 興味深いのは、今年になってから中国からの留学生が続々と来日を再開させていることだ。都心の中国人留学生向けの学習塾経営者が「今年4~6月にかけて中国から留学生が戻ってきました」と話すように、コロナ禍の初期は潮が引くように祖国に帰国した留学生が逆流し始めている。

 中でも目に付くのは「英語で学位を取ろう」という中国人留学生だ。諸事情から欧米留学を断念したものと思われるが、彼らはわずか3カ月で日本語での日常会話をこなせるようになり、簡単な新聞も読めるようになる。「丸暗記」は中国が得意とする教育方法だが、この「暗記力」が語学を習得する上でアドバンテージになっているようだ。

 子どもの頃からの「余暇はすべて勉強に充てる」という習慣で、ほとんどの時間を勉強に費やしているのも中国のZ世代の特徴だ。また、中国人留学生の共通項に、「子どもの頃から豊富な海外体験がある」という点も挙げられる。

 インバウンド期の訪日観光ブームは記憶に新しいが、彼らは過去に来日経験があり、「かつて訪れた日本に住みたい」という願望を実現させようと、日本の大学への留学を選んでいる中国人も少なくない。