勤務終了後や休日も……
B課長のチャット攻撃が止まらない

「こっちだって仕事で忙しいのに、そこまでマメに返事なんかできるか! まるで監視されているみたいで嫌だ」

 B課長のチャット攻撃にメンバーたちは不満を募らせたが、それでも「仕事だから仕方がない」と我慢した。

 やがてB課長は、メンバーたちの勤務時間終了後や休日でもおかまいなしにチャットを入れてくるようになった。本来仕事をしなくていい時間のはずなのに、業務命令なので応答しなければならない。しかもその内容は緊急性があるわけでもなく、

「明日の活動予定を報告してください」
「取引先○○社に新製品の提案をしましたか?」

 など、翌日や休み明けの日に対処できるものばかりだった。

 メンバーから度重なる苦情を受けたAは、主任の立場として、B課長に「緊急性がない業務連絡を業務時間外にしないでほしい」と何度も頼んだが、まったく改善されなかった。

月曜夕方の打ち合わせ資料を、
日曜日に送らなければならない理由とは?

 10月上旬の日曜日。自宅で昼寝をしていたAは、業務用スマホの呼び出し音で起こされた。チャットを確認するとB課長からの書き込みがあった。

「明日、私と2人で丙社に新製品のプレゼンをすることになっていますが、その際先方に提示する資料の内容を確認したいので今すぐ送って下さい」
「はあ? それなら金曜日に、2人でしつこいくらい確認したはずなのに……」

 あきれたAは、「資料は社内のクラウドに格納されていますが、今日は休日なのでアクセスできません」と返信した。しかしB課長の答えは「どうしても今日中に確認したい。何とか手に入れてください!」

 Aは、とうとうブチ切れた。

「丙社との打ち合わせは16時からなので、資料の確認は明日の朝イチで間に合います。すみませんが、今日は休日なのでこれ以上応答できません」

 そして会社のスマホと、万が一B課長から連絡が入らないように、自分のスマホまで電源を切った。