B課長の行動、
二つの問題点とは?

 D総務部長は困り顔で答えた。

「とりあえずB課長を呼んで、Aさんの訴えた内容が本当かどうか確認しようと思います」
「もしAさんの話が本当なら、会社としての対処を急ぐ必要があります。その理由はB課長には二つの問題点があるからです」
「それは何ですか?」
「一つ目は部下にサービス残業をさせている可能性があること、二つ目は部下にパワハラを働いている可能性があることです」

 そして続けた。

「まず、サービス残業の件から説明しましょう。残業の有無は、営業1課のメンバーが業務時間外に行ったB課長とのチャット対応が「手待ち時間」にあたるか否かで判断します」

<手待ち時間について>
(1)「手持ち時間」とは労働時間内において、作業中ではなくても指示があればすぐに業務に就けるように待機している時間のことを言い、労働時間とみなされる。
(2)手待ち時間中、例えばスマホをいじる、読書をするなど業務を離れ自分の好きに過ごすことが可能な場合でも、上記(1)の状態であれば労働時間になる。
(3)手待ち時間として所定労働時間を超えて働かせた場合、原則従業員に残業代を支払わなくてはならない。

<手待ち時間の具体例>
○ 電話や来客応対が必要な休憩時間
○ タクシーの運転手の客待ち時間
○ 店番の待機時間―など