内モンゴル工業大学を封鎖
濃厚接触者扱いの数万人の学生を隔離へ

 10月初旬、中国北部の内陸部にある内モンゴル自治区の首府フフホト市では、新規感染者が毎日数百名ずつ発生するなど感染が広がり、市内のほとんどの地域で実質的なロックダウンが実施された。同市にある「内モンゴル工業大学」(在校生数万人)も対象となり、学校封鎖となった。日本と違い、中国の大学では学生が校内の寮で生活するのが一般的である。学生たちは長らく、寮から一歩も出られずにいた。期間中は、ボランティアの学生や大学教員らが学生たちのために1日3食の食事を寮に届けるなどしていたが、そのうち、学生の中に陽性者が続出したため、食堂が閉鎖された。大学内での対応が難しくなり、政府は全ての学生を近くの都市に移送し、隔離することにした。

 10月28日夕方、濃厚接触者とみなされた学生たちは、列車で約1時間強かかる包頭市へ移動させられた。車両は防護服を着ている学生で缶詰め状況となり、とても混雑していた。しかし目的地の包頭市に到着すると、包頭市側が「学生たちの受け入れはできない」と言いだした。理由は、PCR検査を行ったところ、列車に乗っていた学生から陽性者が出たからだ。

 列車から降りることが禁止され、さらに車両の扉が封じられた。そのまま何時間も車両に閉じ込められた学生たちは途方に暮れた。

 閉じ込められた学生たちやその親たちがSNSでSOSを出し、助けを求めた。これらの動画や投稿がネットで注目され、大きな話題となった。ようやく解放されたのは閉じ込められてからなんと11時間後、明け方の4時頃だったという。話はまだ終わらない。その後送られた隔離施設は、室温が氷点下。暖房やお湯、Wi-Fiもなく、過酷な環境が「まるで監獄だ」とまたもやSNSは騒然となった。これらの投稿に対しては当然、「ただちに削除し、今後投稿してはいけない」と、後で学校から通知が届いた。