中国が初の「国産大型クルーズ船」製造でうごめく期待、世界の勢力図も変化かイタリアのベネチアに停泊するクルーズ船 Photo:Juergen Sack/gettyimages

クルーズ船はコロナ禍の始まりと終わりの象徴

 今年の年賀状を作るとき、私は思い切って手元にある大型クルーズ船の写真を使うことにした。あいさつ文に「恭賀新年」を書き入れたあと、ちゅうちょせずに「乗風破浪(追い風に乗り、波を蹴って進む)」という中国語のことわざを記した。日本の習慣に合うかどうかといった問題よりも、コロナ禍の収束を期待する気持ちを優先させた。

 日本では、コロナ禍の発生を象徴した事件といえば、クルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号を思い出す人が多いだろう。それ以来、海外を回る日本発のクルーズ船は激減した。だから、クルーズ船の航海が再び始まることは、コロナ禍の収束を象徴するように思う。本当にコロナ禍が終わる日が早く訪れてほしい――。春の訪れを首を長くして待つような気持ちに通じる。それが、今回の年賀状に使う写真の選択基準になった。

 実は今、中国で大型クルーズ船への注目が高まっている。

 大型客船というと、1998年に公開された映画『タイタニック』を思い出す人も多いだろう。フランスのベルサイユ宮殿を細部まで模した豪華客船のぜいたくな内装の様子が再現された。豪華な家具が並ぶラウンジに、美しい装飾が施されたらせん階段…今、このようなクルーズ船が、中国ビジネス界の人々の心をつかんでいるのだ。