トム・ニコラス教授トム・ニコラス教授 (C)Neal Hamberg

アメリカのベンチャーキャピタル史の専門家として有名なトム・ニコラス教授が、アメリカのベンチャーキャピタルの歴史をまとめた著書『ベンチャーキャピタル全史』が、日本でも出版され話題となっている。日本のベンチャーキャピタル市場、スタートアップ市場が活性化するために必要なことについて、ニコラス教授に聞いた。(取材・構成/作家・コンサルタント 佐藤智恵)

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アメリカのスタートアップ市場は
150年以上かけて出来上がった

佐藤智恵:アメリカのベンチャーキャピタルの歴史をまとめた著書『ベンチャーキャピタル全史』が2022年9月に日本で出版され、話題となっています。本書を通じて日本の読者に伝えたいことは何ですか。

トム・ニコラス:最も伝えたいのは、アメリカの新興企業を支援する仕組みが一朝一夕で育まれたものではないことです。一般的にベンチャーキャピタルの歴史はセコイア・キャピタルなどが創設された1970年代に始まったと思われていますが、実際にはそこに至るまでに長い歴史があるのです。