百度が発表「中国版ChatGPT」で中国人に即バレた不都合な真実Photo:VCG/gettyimages

ChatGPTは中国でも話題沸騰、焦る企業も

 今、中国のSNSでは、ある新技術が人々の関心を集め、熱すぎるほどの話題になっている。世界中で話題の、OpenAIがオープンした自然な文章を生成するチャットサービス「ChatGPT」だ。

 サービス公開前から、「米国の技術者たちは、GPT-4の登場を救世主のように待ちわびていた」と評された。

 そもそもGPTとはGenerative Pretrained Transformerの略で、OpenAIが開発した言語モデルだ。その後を追ったGPT-2は自然な文章を苦労せずに生成できるため、「開発陣が危険すぎるとし論文の公開を延期した」という逸話を残した。さらにその後登場したのは1750億ものパラメータを持つGPT-3だ。そして、最新アップグレード版であるGPT-4は「GPT-3の500倍となる100兆個のパラメータを持つ」ともいわれ、SAT(米国の大学進学適性試験)や弁護士試験等で人間の能力を超えたばかりでなく、画像処理や絵画も対応できるという。一度に扱えるテキスト量が2万5000文字まで広がり、古いバージョンの言語モデルの8倍以上の文字数になった。

 米国から巻き起こったこのブームはいまや中国を席巻している。OpenAIがGPT-4をリリースした後、中国最大の検索エンジンとして知られる百度(バイドゥ)も北京で3月中に公開予定の同社のAIチャットボット「文心一言(アーニー・ボット、Ernie Bot)」の発表会を開き、世界の動きに歩調を合わせる姿勢を見せた。これは、米中のAI技術関連の競争は非常に激しいものだとみていいだろう。

 百度の創業者で会長でもある李彦宏氏は、アーニー・ボットに対して、「文学創作、ビジネスコピー創作、数理論理推算、中国語理解、マルチモーダル生成」という5つの能力を披露した。
しかし、会場で実演された質疑応答テストはすべて事前に録画しておいたものだったため、観客たちを大いに失望させた。ChatGPTに匹敵するのかと疑問視する声が上がった。李氏も「内部テストの結果は技術的にまだ完璧ではなかった。発表は市場の需要に押されたからだ」と認めた。その告白で、百度の株価は一時大きく下落してしまった。