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逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

其の35「論語」を読む。学ぶってどういうこと?
指導者が体罰に走るのは何のためか

江上 剛 [作家]
【第35回】 2013年2月19日
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 新しい年になって政権交代が行われ、世間は少し活気づいている。そんななかで女子柔道界に暴力、ハラスメントが蔓延している事実が明らかになった。大阪桜宮高校の体罰による自殺の問題から教育の現場、特にスポーツ指導の現場で、体罰が常態化していたことが明らかになってきた。

 これらが一気に噴き出て来た背景を独断で言うなら、「不況」が原因だろうと思う。

 不況で予算が少なくなる。何事も成績重視になる。すると答えが出やすいスポーツの世界では結果しか求めなくなる。柔道は「柔の道」、言わば王道なのに成績のみの覇道の世界になる。高校も同じだ。私立だろうが、公立だろうが、成績を上げなければ生徒は集まらず、経営者(市長、府長も経営者)から文句が出て、予算を減らすぞって脅される。

 こうして成績重視のために短期的な成果を求める指導者は、精神的にも追い詰められているからいらいらしているし、体罰ってことになる。

 孔子も論語の中で「小人窮すれば斯(ここ)に濫(らん)す。」(衛霊公第十五)と言い、小人(我々のような人間)は、困れば困るほど悪いことをすると言っている。

 先生は君子のはずだが、小人になっているのだろう。それはいかに教育現場が、追い詰められているってことなんだろう。それが体罰というものになって顕れている。

先生自身が「学習」に悦び

 そこで今まで多くの古典を参照してきたが、日本の道徳の原点とでもいうべき「論語」に今年は立ちかえってみようと思う。

 「論語」を読むことで、もういちど、成績ばかりではない、日本人の精神性を考えてみたい。

 もとより私は論語学者でないから解釈は自分流だ。間違い、強引な解釈も勘弁してもらいたい。

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江上 剛 [作家]

えがみ ごう/1954年1月7日兵庫県生まれ。本名小畠晴喜(こはた はるき)。77年3月早稲田大学政経学部卒業。同年4月旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地などの支店長を歴任後、2003年3月同行退行。1997年に起きた第一勧銀総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力する。『呪縛 金融腐蝕列島』(高杉良作・角川書店)の小説やそれを原作とする映画のモデルとなる。2002年『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。以後、作家に専念するも10年7月日本振興銀行の社長に就任し、本邦初のペイオフを適用される。


逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

作家・江上剛氏は、その人生で2回も当局による強制捜査を経験した。その逆境にあって、心を支えくれたのが、「聖書」「論語」「孫子」などの古典の言葉である。ビジネス界に身を置けば、さまざまな逆風にされされることも多い。どんな逆境にあっても、明るく前向きに生きる江上剛氏が、柔術ならぬ“剛術”で古典を読み解き、勇気と元気の“素”を贈る。

「逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―」

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