第1に、非労働力人口(就業も求職活動もしていない人)の多さである。これらの人々は失業には含まれないが、過去に求職活動をしたものの、良い就職口が見つからず求職活動を断念した人々が含まれる。

 韓国の若者は総じて、大企業に就職したがる。大企業と中小企業の賃金格差は大きく、企業規模300人以下の企業の賃金は大企業の6割程度だ。

 いい就職口が見つからなければ、大学院に進学するか、海外に留学するか、海外企業に就職するかである。韓国人は誇り高い人々である。名も知れない中小企業に就職するよりは、名の知れた日本企業に就職したいという人が増えている。

 第2に、失業者全体の31%が、15~29歳の若年層に占められること。

 第3に、非賃金労働者(自営業者と賃金を支給されない家事従事者)や非正規雇用の労働者が多いことである。

 いい就職口を見つけられない若者は、恋愛もできず、結婚、出産もできない。家も持てない。これが希望を失った若者の行き先であり、自暴自棄になる素地を形作っている。

利権に群がる
政治家・官僚・経済人

 Netflixオリジナルシリーズ「イカゲーム」が大反響を呼び、韓国政治の実態を表すものとして在韓米国大使館から米国国務省への報告にも使われた。

 米国外交官は「平凡な韓国人、特に就職と結婚、階層上昇のために孤軍奮闘する韓国の若者たちが感じる挫折感、暗鬱な経済展望が韓国社会の悩みであることを立証している」と指摘している。

 そうした中で、2大政党の政治家の多くに腐敗疑惑が浮上していることが、青年の政治への失望感をさらに高めている。