<処分前に遅刻をする社員に伝える内容>
○ 次回以降、遅刻した時間分は欠勤扱いとして給与から差し引くこと(A課長は、メンバーの勤務時間を月ごとにチェックしていたが、これまでBが遅刻をしても通常勤務扱いとして総務課に申請していたので、その扱いをやめること)
  →会社は労働者が働いた分の賃金を支払えばよい(ノーワークノーペイの原則)

○ 次回、朝寝坊を理由に遅刻をした場合は、就業規則に基づいて懲戒処分扱いにすること

○ 懲戒処分を受けた場合、勤務態度不良として賞与の減給および人事考課の査定に響くこと
  →賞与および人事考課の査定詳細は、就業規則等に明記されていない場合が多い

「でも、もし改善されず懲戒処分を行った場合、その旨を社内掲示板で公表してもいいのかな?」

<従業員の懲戒処分を公表できるか>
○ 会社が従業員の懲戒処分を公表する目的は次の2点である。
 ・処分した本人の反省を促し、再び同じ違反をしないようにすること
 ・他の従業員が同種の違反をしないように制御すること

○ 公表は主に次の方法がある。
 ・社内掲示板に掲示する
 ・社内報に掲載する
 ・文書を回覧板で回す
 ・朝礼やミーティング時に話す……など
 社内掲示板や社内報で公表する場合、社内のみならず社外の人にも内容が漏れる可能性があることに留意する。

○ 懲戒処分を公表することは可能だが、どんな場合でも認められるわけではなく、社内外に公表する必要性や合理性があることが必要である。

○ 懲戒処分を受けた従業員の特定ができる内容で公表した場合、処分を受けた従業員から他の人が知ることで自らの社会的評価が低下したことを理由に、名誉棄損の不法行為として訴訟を起こされる可能性がある。訴えが認められた場合、会社に損害賠償義務が発生する恐れがある(民法709・710条)。

○ 他の従業員への戒めが目的で懲戒処分を公表する場合の内容は、懲戒処分の種類・処分の理由・対象者の所属部署や役職等とし、氏名等個人が特定できるような情報は公表しない。

○ ただし、小規模企業等従業員数が少ない企業では、たとえ個人情報が識別できないようにしても公表した時点で対象者が特定される可能性が高いので、公表の是非には慎重さを要する。