「肝臓を守るためにはお酒を飲まないのが一番ですが、社交的には飲酒がプラスに働くこともありますよね。飲むならほどほどに止めましょう。適量とされる飲酒量は、純アルコール(エタノール)量換算で1日20g未満です」

 純アルコール量は、「アルコール度数×酒の量(ml)×0.8」で計算する。純アルコール量換算で20gとは、ビール(アルコール度数5%)ならロング缶1本(500ml)、日本酒(同15%)なら1合弱(約160ml)、ワイン(同12%)ならワイングラス2杯弱(約200ml)、焼酎(同25%)ならコップ半杯(100ml)、缶酎ハイ(同7%)なら1缶(350ml)に相当する。毎日のようにビールや酎ハイなどを大ジョッキで1杯以上飲んでいる人は、明らかに飲み過ぎというわけだ。

酒に弱いか強いかを
決める遺伝子とは?

 一方、酒に強いか弱いかは、生まれつき持っている遺伝子によって決まっている。アルコールが体内に入ると、まずはアセトアルデヒドという物質に分解され、その後、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって分解されて酢酸になり、最終的に水と二酸化炭素になって体外へ排出される。

 アセトアルデヒドは、顔が赤くなる、頭痛、吐き気、頻脈など不快な症状をもたらす原因となる物質だ。これを分解する能力は、ALDHの1つであるALDH2遺伝子の型によってNN型、ND型、DD型の3つに分けられ、これが酒の強さに関係している。顔が赤くならず酒に強い人はNN型、赤くなるけれどもある程度飲める人はND型、全く飲めない下戸はDD型だ。欧米人はほぼ全員がNN型、日本人の約40%がND型、4%がDD型と推計される。

「顔が赤くなるND型の人でも飲み続けているうちに強くなることがありますが、これは通常とは異なる経路でのアルコール分解能力が高まるからです。ただ、異なる経路が発達してもアルデヒドの蓄積は抑えられないので肝臓にはよくありません。ND型の人は、食道がんや喉頭がんになるリスクも高いので、特に飲酒量を抑えることが大切です」

 ところで、ほとんどつまみは食べずに酒を飲む人がいるが、肝臓にとってはどうなのだろうか。