MBTI写真はイメージです Photo:PIXTA

2023年、若い世代が頻繁に話題にしていた性格診断がある。「私はENTPです」「INFPです」などというように、アルファベット4文字で自分がどんな人間かを表す、というものだ。SNSのプロフィル欄に書かれるなど、その世代の間では共通言語のように浸透している一方、「40代以上は知らない」と言われていることに、筆者は正直少しモヤモヤが残る。そしてこの性格診断のブームについて調べ、関連する2つの団体へ取材する中で、筆者は意外な事実と、ブームに潜む闇を知ってしまった。(アステル 今岡由季恵)

「若い人がよく言う、
アルファベット4文字のアレ、何?」

 その診断は一般的には「MBTI診断」と呼ばれている。もともと「MBTI」というのは「Myers-Briggs Type Indicator(マイヤーズ・ブリッグス・タイプ指標)」の略。スイスの精神分析家カール・ユングの提唱する心理学的類型論に基づいて、米国のキャサリン・クック・ブリッグスとその娘、イザベル・ブリッグス・マイヤーズが研究開発し確立した心理検査(自己分析メソッド)のことだ。

「一般的には~と呼ばれている」と書いたのは、現在ネット上で「MBTI診断」として流布しているものが、公式のMBTIとは別物だからだ。これについて、日本で20年以上公式のMBTIの普及に努めてきた専門機関「日本MBTI協会」が強く注意喚起している(詳しくは後述)。

 多くの人がMBTI診断と誤認しているのが、英国のNERIS Analytics Limitedが公開している「16Personalities」というWebサイトだ。日本語を含む50近くの言語で翻訳され、世界中で利用されている。全93問の質問について、「同意する」から「同意しない」までの7段階から自分に当てはまるレベルを選んでいく。設問は「定期的に新しい友達を作る」など、誰もが答えやすいものだ。

 診断してたどり着く16の類型は、「INTJ」のようにアルファベット4文字で表される。これは「I(内向型)とE(外向型)」「S(感覚型)とN(直観型)」「T(論理型)とF(感情型)」「J(判断型)とP(知覚型)」という、対称性のある4つの性質のうち優位な方を組み合わせたもの。さらに「INTJ(建築家)」や「ESTP(起業家)」というように、各タイプを象徴する職業や肩書が併記される。

「若い人がよく言う、アルファベット4文字のアレ」とは、「MBTI」のことであると同時に、16種類の各タイプのことでもあるのだ。この性格診断を、就職・転職支援のコンテンツやサービスに取り入れている人材サービス系の企業も多い。