産前産後に免除される保険料は
「所得割」と「均等割」の部分

 会社員などが加入する健康保険は、その人の収入に一定の割合をかけて保険料を計算する。つまり、所得に応じて保険料が決まる仕組みになっている。

 だが、国民健康保険は、農業や漁業などの1次産業に従事している人、自営業やフリーランス、無職の人などを対象にしている。現金収入だけでは、その人の保険料の負担能力を正しく測れないケースもあるため、所得だけではなく、所有している土地や山林などの固定資産、家族の人数などの要素を組み合わせて、保険料を計算する仕組みが導入されているのだ。

 国民健康保険料を決める要素は次の4つだ。

1月スタート「産前産後の保険料免除制度」、去年産んだ人も見逃すな!

 実際の保険料は、上記の要素を組み合わせて決められており、「所得割+均等割」の2方式、「所得割+均等割+平等割」の3方式、「所得割+資産割+均等割+平等割」の4方式がある。どの方式を採用するかは、それぞれの自治体の判断に任されている(自分が加入している国民健康保険が、どの方式を採用しているかは、各自治体のホームページ等で確認できる)。

 いずれの方式でも入っているのが「所得割」と「均等割」で、今回の保険料免除の対象になっているのも、この2つだ。「資産割」や「平等割」の部分は、免除の対象になっていない。

 3方式や4方式を採用している自治体の国民健康保険に加入している人は、産前産後期間の保険料のすべてが免除対象にならないケースもあるので覚えておこう。

 このように、保険料計算の仕組みによって免除対象外のものもあるが、今年からは国民健康保険の加入者も、産前産後期間の保険料が免除されるようになった。産前産後の働けない期間の出費を少しでも抑えられるという点では、一歩前進といえるだろう。

 前述のように、妊産婦なら自動的に保険料が免除されるわけではなく、利用する場合は市区町村で申請する必要がある。届け出期間は、出産予定日の6カ月前から受け付けており、その届け出を基に保険料が計算される。出産後でも申請でき、さかのぼって免除が受けられるが、子どもが生まれると慌ただしくなり、ついつい手続きが後回しになりがちだ。

 出産の予定のある国民健康保険加入者は、母子健康手帳、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類を持参して、早めに市区町村の窓口で、保険料免除の手続きをしておこう。