高配当&高成長!新NISAで狙う日本株#7Photo by Masato Kato

個人投資家として有名な片山晃氏と井村俊哉氏、すご腕ファンドマネジャーの古賀直樹氏による緊急鼎談を前編・後編の2回に分けてお届けする。特集『高配当&高成長!新NISAで狙う日本株』(全20回)の#7では、前編として日本株の上昇の要因とその魅力を分析。「劣等生だった日本株が変貌しつつある」というがその真意は?また、日本株は「個別銘柄やアクティブファンドにチャンスがある」と強調する理由とは?(構成/経済ジャーナリスト 大西洋平、ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

株式市場で大事なのはサプライズ
「劣等生の変化」に市場は注目する

――最初に自己紹介をお願いします。投資信託のファンドマネジャーを務める古賀直樹さんは、いわゆる機関投資家という立場ですよね。

古賀 三井住友DSアセットマネジメントで「アクティブ元年・日本株ファンド」など、複数の運用商品でファンドマネジャーをしています。

――井村俊哉さんと片山晃さんは専業投資家として有名です。直近のインタビューを拝見すると、片山さんは資産170億円、井村さんは通算獲得利益が85億円(含み益込み、税引き前)に達したそうですね。投資スタイルについて、簡単に教えてください。

井村 2005年に株式投資を始めてから、一貫して企業のファンダメンタルズに着目した投資をしてきました。株式市場は頻繁に間違えていると考え、市場が気付いていないアルファ(超過収益)を探求しています。

片山 以前は時価総額が小さい割安成長株を狙っていましたが、最近は所属している産業が必要とされて、長期的に伸びることを重視しています。その上で、優秀な経営者がシェアを確保して、より高い粗利を確保する企業に注目しています。

――23年に続き、24年に入ってからも日本株の底上げが勢いを増しています。この勢いをどう見ていますか?

井村 世間の多くの人々は、日本株がこれだけ上がることに違和感を覚えているかもしれません。日本は人口がどんどん減っていく「オワコン(終わったコンテンツ=時代遅れ)」の国というイメージが強いですから。

 そんな日本に投資するよりも、S&P500(米国株の株価指数)やオルカン(オールカントリー=全世界株式インデックス)を選んだ方が有益だと考えるのも無理はありません。もっとも、投資経験のない人々が根本的に勘違いしていることがあります。

「いい会社の株を買えば上がるし、駄目な会社の株は上がらない」と考える人が大半かと思われますが、実はそれが大きな誤解なのです。片山さんが著書の中で、すごく分かりやすい例え話を出されていましたね。

片山 周囲から優等生だと思われている人(会社)がテストで100点を取っても、そのことにサプライズがないから株価は上がらないという話ですね。

井村 そうそう、その例え話です。逆に、せいぜい50~55点止まりの劣等生だろうと見なされてきた人(会社)が80点を取ると、大きなサプライズを引き起こして株価が上がります。

 今、日本のマーケットで起きているのは、まさにこうした現象です。依然としてS&P500(米国企業)よりも得点は低いものの、せいぜい50~55点という印象が強かった日本企業が65点くらいを取るようになっています。

 その結果、「ひょっとしたら、この次は70点や75点も出せるのでは?」との期待が高まり、海外投資家が中心となって日本株を積極的に買い上げているわけです。

古賀 おっしゃる通り、株価上昇の背景には、日本がかなり変わってきているという現実がありますね。日本では30年以上もデフレが続いてきましたが、ここ数年はインフレや賃金の引き上げが話題になるようになりました。

 インフレに強い資産として株式が注目されやすくなっていますし、欧米の投資家がアジアへの投資戦略を練る際に「もっと日本株を保有しておくべきだ」と考え、一気に資金をシフトさせています。

投資手法は異なる3人だが、共通するのは「日本株は個別株投資やアクティブファンドにチャンスがある」と指摘することだ。次ページでは「オルカン」だけではない、他者と差をつける日本株投資の魅力や、日経平均株価が最高値を更新する根拠となる「日本株の三つの変化」についても語ってもらった。